【為替本日の注目点】ドル円およそ9ヵ月ぶりに155円台に

東京時間に155円台を付けたドル円は、NYでは上値を重くし、154円14銭まで下落。その後は米金利の上昇に154円台半ばまで反発。ユーロドルは反発。1.1656まで買われ、対円でも179円89銭を記録。株式市場では3指数が大きく下落。利下げに慎重な見方が広がり、ダウは一時800ドルを超える下げに。債券も売られ、長期金利は4.10%台に上昇。金は売られ、原油は小幅高。
10月消費者物価指数 → Delayed by Government Shutdown
新規失業保険申請件数 → Delayed by Government Shutdown
10月財政収支 → Delayed by Government Shutdown
ドル/円 154.14 ~ 154.73
ユーロ/ドル 1.1612 ~ 1.1656
ユーロ/円 179.36 ~ 179.89
NYダウ -797.60 → 47,457.22ドル
GOLD -19.10 → 4,194.50ドル
WTI +0.20 → 58.69ドル
米10年国債 +0.037 → 4.106%
【本日の注目イベント】
中 中国10月小売売上高
中 中国10月鉱工業生産
欧 ユーロ圏7-9月期GDP(確定値)
欧 ユーロ圏9月貿易収支
米 10月小売売上高
米 10月生産者物価指数
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会に参加
米 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁講演
ドル円はついに155円台に到達しました。今年2月4日以来となる円安水準です。高市政権が、財政規律よりも経済政策に軸足を移していることが大きな理由になっています。経済諮問委員会にも多くの「リフレ派」の民間委員を登用したことでも、その姿勢は明らかです。155円台には2回乗せましたが、いずれも155円02-07銭辺りで上値を抑えられ、押し戻される展開でした。これは先週までにも観られた、154円台半ばでも何度も経験しており、「155円」という節目では当然の動きと言えます。日銀が追加利上げを実施しにくくなる一方、FRBが12月会合では追加利下げを行わないという見方もじわじわと浸透しつつあります。
昨日は4名のFOMCメンバーの発言がありましたが、いずれも「12月会合での利下げには慎重」なスタンスで、これは、ミラン理事のような「超ハト派」の委員がいなかったこともありますが、特筆すべきことかもしれません。「タカ派」のクリーブランド連銀のハマック総裁は言うまでもありません。ハマック氏は、ピッツバーグ・エコノミック・クラブでのイベントで「総合的に判断すると、インフレ率をFRB目標に向かって引き下げる圧力を維持するため、幾分景気抑制的な姿勢を続ける必要がある」と発言しています。ハマック氏は労働市場に懸念を示しながらも、根強い高インフレに言及し、それが特に低中所得層に打撃を与えているとの認識を示し、「私は労働市場を懸念している。低中所得層や時給で働く人たちと話すと、彼らが本当に苦しんでいることが分かる」と発言。その上で、「根強い高インフレが現在あり、最終的にこの状態は今後10年間の大半において続くだろう。経済状況が変化しない限り、これ以上の利下げを支持することはない」と述べていました。
セントルイス連銀のムサレム総裁も、インフレ率が当局目標の2%を上回る現状では、追加利下げには慎重に臨むべきだとの見解を示していました。ムサレム氏は、インディアナ州エバンズビルでの講演で「金融政策が過度に緩和的にならずに追加利下げを行う余地は限られているため、慎重に対応を進める必要がある」と語っています。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「公表されたデータはおおむね同じ傾向」を示しており、12月会合についてはデータ次第では利下げを主張することも、据え置きを支持することもあり得る。現時点では見極めが必要だ」と話していました。さらに、米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁もダブリンで開かれたイベントで「『利下げはしない』と断言するのも、『利下げする』と断言するのも、どちらも時期尚早だ」と述べ、政策の方向性は中立的に見える」とのスタンスでした。
これらの発言を受け12月会合での利下げ確率は急速に低下してきました。OIS市場では12月に0.25ポイントの利下げをする確率が「49.5%」に低下しています。追加利下げの可能性が低下したことで、昨日のNY株式市場では主要3指数が揃って大きく売られ、ナスダックは536ポイント(2.29%)下げて取引を終えています。安全資産の債券も売られ、長期金利が上昇したことでドルは上値を重くはしましたが底堅く、ドル円は依然として154円台半ばで推移しています。
米国史上最長となった政府機関の一部閉鎖がようやく終了しましたが、連邦政府機関の業務再開には数日、場合によっては1週間以上かかる可能性もあると報じられています。米国家経済会議(NEC)のハセット委員長は13日、政府閉鎖の影響で公表が遅れていた10月の雇用統計について、「失業率なしで発表」されることを明らかにしました。ハセット氏は「10月は家計調査が実施されなかったため、雇用統計の半分しか得られない。雇用者数は公表されるが、失業率は公表されない。これは1カ月だけの措置だ」とFOXニュースで述べています。10月の雇用統計は11月7日(金)に公表される予定でしたが、政府機関閉鎖により職員が一時帰休扱いとなり、データの収集は行われませんでした。またハセット氏は10月3日に発表予定だった9月分の雇用統計については、来週公表される可能性があると、ホワイトハウスで記者団に述べています。完全な形ではないにしろ、これで労働市場とインフレの傾向はおおむね把握できる可能性が高まったようです。
最後に・・・・。
年末にバークシャー・ハザウェーの最高経営責任者(CEO)職を退くバフェット氏(95歳)は10日公表した株主宛ての書簡で、13億ドル(約2008億円)超を四つの家族財団に寄付する考えを明らかにするとともに、バークシャーの年次書簡執筆と株主総会での登壇を取りやめると述べていました。今回の書簡は、バフェット氏が経営権を次期CEOのグレッグ・アベル氏(63歳)に正式に委ねる過程を示すものとなりました。バフェット氏は書簡で、体調はおおむね「良好だ」とした一方で、存命中に子供たちの財団への寄付を「加速させる」計画も明らかにしています。「動作は遅くなり、読むのも難しくなっているが、週5日オフィスに通い、素晴らしい仲間と働いている」とバフェット氏は書簡に記し、「時に有益なアイデアを得たり、これまで届かなかった提案を受けたりすることもある。バークシャーの規模や市場環境を考えれば、アイデアは少ないがゼロではない」と付け加えています。今回の書簡で同氏は、子供たちが生前のうちに自身の資産を全て処分できるよう寄付を前倒しする意向を示した。ただ、3人の子息はすでに60-70代にあり、「自分のような幸運な長寿を当てにするのは誤りだ」とも述べています。これまでにも巨額な資産を寄付し、マクドナルドとコカ・コーラを愛し、質素な生活を送ってきたバフェット氏。いやでも現大統領との差を考えてしまいます。
本日のドル円は153円80銭~155円30銭程度を予想します。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
東京時間に155円台を付けたドル円は、NYでは上値を重くし、154円14銭まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-11-14 10:45