【為替本日の注目点】FOMCメンバーのインフレ懸念高まる

ドル円は朝方、株価が大きく下げたことでドル売りが強まり、一時153円62銭まで下落。その後FOMCメンバーの利下げに対する慎重な発言が伝えられ、154円74銭まで反発。ユーロドルはほぼ前日と同水準となる、1.16台前半から半ばで推移。株式市場はまちまち。ナスダックは小幅に上昇したものの、ダウは一時600ドルを超える下げに。利下げ観測が後退し、株式にはやや逆風。債券は続落。長期金利は4.14%台に上昇。金は100ドルを超える大幅下落。原油は続伸。
10月小売売上高 → Delayed by Government Shutdown
10月生産者物価指数 → Delayed by Government Shutdown
10月財政収支 → Delayed by Government Shutdown
ドル/円 153.62 ~ 154.74
ユーロ/ドル 1.1606 ~ 1.1653
ユーロ/円 179.00 ~ 179.70
NYダウ -309.74 → 47,147.48ドル
GOLD -100.32 → 4,094.20ドル
WTI +1.40 → 60.09ドル
米10年国債 +0.042 → 4.148%
【本日の注目イベント】
日 7-9月GDP(速報値)
日 9月鉱工業生産(確定値)
米 11月NY連銀製造業景況指数
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、会議冒頭あいさつ
加 カナダ10月住宅着工件数
加 カナダ10月消費者物価指数
ドル円は先週末のNYで一時153円62銭まで売られる場面がありましたが、FOMCメンバーのインフレに対する懸念発言から、再び154円台半ばまで反発し、ほぼ同じ水準で戻ってきました。今週は20日(木)の8時30分(日本時間22時30分)に遅れていた「9月の雇用統計」が発表されることもあり、結果次第では再び155円台をテストする可能性もありそうです。もちろん、予想よりも雇用の減速が大きいようだと、先週の155円台が目先の天井になることも考えられますが、先週後半からFOMCメンバーによる、「追加利下げには慎重な発言」が急速に目立ってきたことに、筆者は注目しています。そういったメンバーが、「何かを感じ取った上での発言だったのかもしれない」と推測するのは、考え過ぎでしょうか。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、追加利下げは労働市場を支える効果よりも、高インフレを定着させるリスクの方が大きいとの見方を示しました。シュミッド氏は14日デンバーで講演し、「追加利下げが労働市場の亀裂を修復する効果は限定的だろう。こうした緊張は、テクノロジーや移民政策の構造的変化に起因する可能性が高い」と述べた上で、「しかしながら、2%の物価目標へのコミットメントが一段と疑問視される中で利下げすれば、インフレに長期的な影響を与える可能性がある」との考えを示しました。シュミッド氏は10月の会合では利下げに反対。据え置きを主張し、なお堅調な経済成長がインフレ圧力を再燃させる可能性があると指摘していました。14日の講演でも、現時点では金利が経済に与える圧力は限定的であり、これは適切だと改めて強調しました。また、同じ会議に出席したダラス連銀のローガン総裁も、経済データが正当化しない限り、追加の利下げを支持しない考えを示しました。ローガン氏は、「インフレ率が想定を上回るペースで鈍化している、あるいは労働市場がこれまでの緩やかな減速以上の冷え込みを見せているという確かな証拠が得られない限り、追加利下げを支持するのは難しいと思う」と述べていました。ローガン氏も先月、10月の利下げ決定を支持しなかったと明らかにしております。
ボストン連銀のコリンズ総裁も12日、依然として堅調な景気がインフレ鈍化の進展を遅らせ、停滞させる恐れがあるとして、当面は政策金利を据え置くのが適切だとの見方を示していました。コリンズ氏はその理由を、「この極めて不確実な環境下では、インフレと雇用のリスクを均衡させるため、しばらくの間は政策金利を現行水準に維持するのが適切となる公算が大きい」と述べています。このように、先週後半からメンバーの「タカ派発言」が目立つようになって来ました。(参照:下記「What’s going on ?」因みに、12月会合での利下げ確率は現時点で、「43.2%」まで低下しています。
トランプ政権の発足から10ヵ月が経過しました。これまで、関税を武器に「Make America Great Again !!」を掲げ邁進してきた政策に「失速感」が出始めてきました。関税の引き上げが、日々の生活の身の回り品の価格を押し上げ、その物価が高止まりしていることを背景に政権に対し、生活必需品の価格抑制を求める有権者からの圧力が高まっていました。トランプ大統領は14日に急遽、牛肉やトマト、コーヒー、バナナの関税を引き下げる大統領令に署名しました。米国内では需要を満たすだけの量を生産できない220品目について、貿易相手国・地域に課す上乗せ関税の対象から外し、ココナツやナッツ類、アボカド、パイナップルも適用除外リストに含まれます。撤廃は、米東部時間13日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)にさかのぼって実施され、日本を含むすべての国が撤廃の対象になります。ブルームバーグは、「トランプ政権下の米経済に有権者が警戒を強める中で、関税政策が価格上昇圧力を高める現状を暗に認め、アフォーダビリティー(手頃な価格)を実現する施策に軸足を移す方針を反映した動きと言える」と報じています。また、撤廃に踏み切った理由には、4日に投開票が行われたニューヨーク市長選のほか、バージニア、ニュージャージー州の知事選でも生活費高騰対策を掲げた民主党候補がいずれも勝利し、与党共和党候補は全敗を喫したこともあると見られています。共和党内からも不満の声が聞こえ、トランプ氏への支持率も急速に下がっています。2026年11月の「中間選挙」にも大きな影響を与えそうです。
本日のドル円は153円70銭~155円30銭程度を予想します。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は朝方、株価が大きく下げたことでドル売りが強まり、一時153円62銭まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-11-17 10:15