【為替本日の注目点】ドル円155円30銭まで上昇

ドル円は昨日の東京時間から、株価の下落にもかかわらずジリ高の展開が続く。その流れを受けNY時間では155円台に乗せ、155円30銭まで円が売られる。ドル高が進み、ユーロドルは1.1582まで下落。ただ、対円では初の180円台に乗せる。株式市場では3指数が大きく下落。ダウは一時700ドルを超える下落。引け値では643ドル安だが、高値からすでに1700ドルの下げとなる。債券は買われ、長期金利は4.13%台へとやや低下。金は3日続落。原油も反落。
11月NY連銀製造業景況指数 → 18.7
ドル/円 154.84 ~ 155.30
ユーロ/ドル 1.1582 ~ 1.1601
ユーロ/円 179.35 ~ 180.02
NYダウ -643.06 → 46,504.42ドル
GOLD -19.70 → 4,074.50ドル
WTI -0.18 → 59.91ドル
米10年国債-0.010 → 4.139%
【本日の注目イベント】
豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
米 10月輸入物価指数
米 10月輸出物価指数
米 10月鉱工業生産
米 10月設備稼働率
米 11月NAHB住宅市場指数
予想通りの展開でした。ドル円はこれまでに何度か「155円の壁」をテストしましたが定着しませんでした。昨日のNYでは155円台に乗せ、しっかり155円台で戻ってきました。先週も155円台に2度乗せる場面がありましたが直ぐに押し戻される展開でした。「壁」は、これまでもそうでしたが、何度か突破を試みては押し戻されますが、流れがその方向に続く限りいずれ破られるのが常です。特に2度目では、前回その水準で上昇が止まったことが意識され、新規のドル売りや利益確定の売りが集まり易く、さらに強固になります。しかし何度か試すうちに、そういったオーダーもこなされ、徐々にオーダーが集まりにくくなり「壁」も薄くなります。そして結局その水準が破られることになります。今回もほぼその通りの展開だったと言えます。ただ、今回の155円台乗せは、ドル高というよりも「円の独歩安」と言った方が適切です。高市政権の積極財政を理由に債券市場では売り圧力が根強く、昨日は10年債が一時1.735%まで上昇、およそ18年ぶりです。20年債も2.74%台まで上昇し、こちらはおよそ26年ぶりの高水準を記録しました。昨日発表された7-9月期のGDP速報値は「-1.8%」でした。マイナス成長は予想されてはいましたが、これでさらに高市氏の積極的財政政策が正当化されます。また、日銀による利上げ観測が徐々に後退していることも円売りにつながっています。
その高市首相と植田日銀総裁が本日午後3時半に急遽会談することになりました。円安が進んでいることと関係があるかどうかはわかりませんが、このタイミングを考えると、為替の水準と金融政策について意見が交わされるものと予想しています。高市氏は、去年ほどではないにしろ、利上げには消極的で、「高市氏の利上げけん制が弱まるのかどうか」が焦点になりそうです。ブルームバーグは、「高市氏が日本銀行の利上げに対する慎重な姿勢を緩める用意があるのかどうかが注目される。同氏は金融緩和を支持しているが、円安の継続で輸入価格が高止まりし、物価を押し上げている」と論じています。年内残された決定会合は12月を残すのみとなっているなか、筆者はドル円が155円台に乗せたことも考慮し、「利上げはある」と個人的には予想しています。もちろんそうだとすれば、ドル円は円高方向に振れるでしょうが、それでこの流れが逆流するかどうかは別です。
FRBのジェファーソン副議長は17日、雇用情勢に下振れリスクが高まっているとの見方を示しましたが、金利が中立水準に近づきつつあることを踏まえ、金融当局として慎重な対応が求められるとの従来の見解を改めて強調しました。ジェファーソン副議長はカンザスシティー連銀での講演で「ここ数カ月で経済のリスクバランスが変化したとみている。具体的にはインフレの上振れリスクがやや低下する一方、雇用の下振れリスクが高まっている」と述べています。 またジェファーソン氏は、当局が掲げる2%のインフレ目標に向けた進展は足踏みしていると指摘。その背景には、関税の影響がある可能性が高いとの見方を示していました。一方、ハト派で知られるウォラー理事は、「基調的なインフレ率がFOMCの目標に近く、労働市場の弱さを示す証拠があるなか、12月の会合で政策金利を25ベーシスポイント引き下げることを支持する」と述べ、また「私の関心は労働市場にある。数カ月にわたる軟化を踏まえると、今週発表される9月の雇用統計や今後数週間に明らかになるデータが、この見方を変える可能性は低い」と付け加え、改めて利下げを主張しました。
ドル円が155円台に乗せたことで、上記会談以外にも、財務相や財務官辺りからも円安をけん制する発言が出る可能性があり、一応注意が必要です。
本日のドル円は154円~155円80銭程度を予想します。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は昨日の東京時間から、株価の下落にもかかわらずジリ高の展開が続く。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-11-18 10:15