【為替本日の注目点】ドル円再び157円台に

 先週末には156円台前半まで売られたドル円は再び157円台まで買われた。高市政権の経済対策が21.3兆円に膨らんだことで、引き続き財政への懸念から円売りが優勢に。ユーロドルは1.15台前半から半ばで推移。利下げ観測が高まり、株式市場では3指数が揃って大幅に続伸。ナスダックは598ポイント上昇。アルファベットが大幅に買われ、同指数をけん引。債券も続伸し、長期金利は4.02%台まで低下。金は続伸し、原油も買われる。 ドル/円 156.72 ~ 157.19 ユーロ/ドル 1.1512 ~ 1.1547 ユーロ/円 180.65 ~ 181.26 NYダウ +202.86 → 46,448.27ドル GOLD +14.70 → 4,094.20ドル WTI +0.78 → 58.84ドル 米10年国債-0.037 → 4.027% 【本日の注目イベント】 独 独7-9月期GDP(改定値) 米 9月小売売上高 米 9月生産者物価指数 米 9月S&P Cotality CS20-City YoY NSA 米 9月FHFA住宅価格指数 米 7-9月期四半期住宅価格指数 米 11月リッチモンド連銀製造業景況指数 米 11月コンファレンスボード消費者信頼感指数 米 10月中古住宅販売成約件数  先週は円安が急速に進んだことで、当局からの発言もやや厳しい口調に変わってきました。片山財務相は21日、「足元の動きは一方的で急激であると憂慮している」と指摘。日米財務相共同声明に沿って適切に対応するとした上で、為替介入は選択肢として「当然考えられる」と語っていました。片山財務相が声明に沿って適切に対応すると明言したことで、日本の為替当局が足元の動きを「過度な変動」に当たるとみている可能性があります。片山氏の発言を受け、円相場はやや円高方向に振れましたが157円台前半でもみ合う展開となっていました。さらに先週末のNYでは、NY連銀総裁の利下げを支持する発言で、一時156円19銭前後までドル売りが進みました。それでも昨日のNYでは再び157円台までドルが買われる場面もあり、FRBによる利下げ観測の高まりだけでは、足元の「ドル高・円安基調」は変わりそうもありません。FRBのウォラー理事も24日、FOXビジネス・ネットワークに対し、「二大責務という観点から見ると、主に労働市場を懸念している。次回の会合では利下げを支持する」と述べ、「1月に入れば、会合ごとに判断するアプローチが増えるだろう」と語っていましたが、同氏の発言は想定内であったため市場への影響はありませんでした。  トランプ米大統領は24日、中国の習近平主席と電話会談を行い、貿易や台湾問題、ロシアのウクライナ侵攻などを巡り協議しました。両首脳が会談するのは先月の関税「休戦」合意以来ですが、トランプ氏は「非常に良い会談だった」とし、大豆など農産品の購入や合成麻薬フェンタニルの出荷抑制などについて話し合ったと明らかにしました。さらにトランプ氏は4月に中国を訪問することで合意したほか、習主席を来年国賓として米国に招待したことを明らかにしました。一方、習氏は統一を目指す台湾について、「中国への台湾復帰は第2次世界大戦後の国際秩序の重要な部分だ」と述べ、台湾の中国への統一にこだわる姿勢を示していました。米中関係よりもさらに状況が悪化している日中関係では、南アフリカで行われた「G20サミット」で、高市首相と中国の李強首相との接触が行われなかったことについて、高市首相は、「今回のG20サミットでは李強首相と会話する機会はなかった」と話し、今後の両国関係については「わが国としては中国とのさまざまな対話についてオープンだ。扉を閉ざすようなことはしていない」と述べていました。  米国とウクライナは、ウクライナとロシアとの戦闘終結に向けた和平案についてスイスで協議を行いましたが、米国からの提案は極めてロシア寄りの内容で、ゼレンスキー大統領は「ウクライナは非常に難しい選択に直面するかもしれない。尊厳を失うか、重要なパートナーを失うかという選択だ」と述べ、「今日は私たちの歴史の中で最も困難な瞬間の一つだ」と、苦渋の選択を迫られている胸の内を明かしました。米国が提示してきた28項目からなる和平案は、ウクライナに北大西洋条約機構(NATO)加盟の断念や、ロシアが支配していない地域を含むドンバス地方の割譲などが含まれ、ウクライナやその支援国に不意打ちを食らわせていました。ただその後、欧州諸国との協議を経て、ロシアに有利な項目が多く入った米国案の修正を求め、一部改善した模様です。ドイツのメルツ首相は24日、「ウクライナに一夜にして平和が訪れることはない。ウクライナが一方的な領土割譲を強制されるようなことがあってはならない。侵略に対して有効な自衛の能力を持つことも必要だ」と述べていました。前日には「感謝の意が伝わってきていない」として、ウクライナ指導部を非難していたトランプ氏も和平交渉に進展があったことを示唆し、24日には「実際に目にするまでは信じるべきではないが、何か良いことが起きつつあるかもしれない」とSNSに投稿し、交渉に弾みが付きつつあることをほのめかしていました。ゼレンスキー大統領は、今週中にもトランプ大統領と会い、決断を迫られる模様です。  より影響力のあるNY連銀のウィリアムズ総裁の発言を受け、12月会合でのFRBの利下げ確率は「77.1%」まで上昇して来ました。上でも触れたように、それでもドル円の流れは大きく変わっていません。やはり、カギになるのは日本サイドの動きで、「利上げか、実弾介入か」といったところです。本日のドル円は156円~157円50銭程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
先週末には156円台前半まで売られたドル円は再び157円台まで買われた。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-11-25 10:15