【為替本日の注目点】長引く日中関係の悪化

 NY市場が休場のためドル円は小動き。156円台前半から半ばで一進一退。ユーロドルは1.15台後半から1.16の狭いレンジ内で推移。 ドル/円 156.08 ~ 156.40 ユーロ/ドル 1.1577 ~ 1.1602 ユーロ/円 180.95 ~ 181.30 NYダウ ------- → 47,427.12ドル GOLD ------- → 4,202.30ドル WTI ------- → 58.65ドル 米10年国債 ------- → 3.990% 【本日の注目イベント】 日 10月失業率 日 11月東京都区部消費者物価指数 日 10月鉱工業生産 独 独11月雇用統計 独 独11月消費者物価指数(速報値) 米 ブラックフライデー(感謝祭翌日) 米 株式、債券市場休場、短縮取引 加 カナダ7-9月期GDP  昨日、日銀の野口審議委員が大分県金融経済懇談会で講演し、今後の利上げについて、2%の物価安定目標の実現見通しに合わせて段階的に慎重に行う必要があるとの考えを示しました。野口委員は、先行きの利上げペースについて「早すぎても遅すぎても問題が生じる」と述べていました。日銀のシナリオに沿って、2027年度までの見通し期間の後半に物価目標が達成されるならば、それに向けた適切なペースが重要と指摘。経済・物価への影響を確認しながら、「時を置いて小刻みな利上げが現実的と」語っていました。その上で、「政策調整は慎重に行われるべきだ」と主張し、インフレ期待が2%付近で定着するには、「まだ時間が必要」と発言しました。さらに「政策金利の拙速な引き上げは、賃金上昇のモメンタムを失わせ、2%目標の達成を遠ざけてしまうリスクをはらんでいる」と、全体としては想定していたよりも「ハト派寄り」の見解を示しました。野口氏は前回9月の講演では、「タカ派寄り」のスタンスを示していたこともあり、市場にはややサプライズ。株式市場では株価がやや上昇する場面がありました。  高市首相の発言をきっかけに、日中関係が悪化の一途を辿っており、今後も長引きそうな気配です。高市首相が25日、トランプ大統領の要請を受け電話会談を行ったと官邸で述べました。その際には詳しい会談の内容を明らかにはしませんでしたが、この電話会談の数時間前に米中首脳が、約1時間にわたり会談を行っていました。その直ぐ後に、しかもトランプ氏の方からの要請で電話会談が実現しましたが、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、事情に詳しい関係者からの情報だとして、「トランプ大統領が25日に高市首相に電話をかけた際、台湾を巡る発言の語調を和らげるよう高市氏に助言した」と報じました。米国側の説明によれば、トランプ氏は、高市氏が国内政治上の制約を抱えており、中国を怒らせた発言を完全に撤回することは難しいとの説明を受けていたため、その点も理解していたということのようです。さらに深読みすれば、この電話会談は、日中関係の悪化により、これ以上米中関係を悪化させたくはないといった、トランプ氏の考えもあったのでないかと考えます。  またこの件に関しては、朝日新聞(電子版)も、「トランプ氏が事態の沈静化を図る必要があるとの認識を示した」と、複数の日本政府関係者への取材を基に報じており、共同通信も、「トランプ氏が日中両国の対立に懸念を示していた」と報じていました。ただ、政府は木原官房長官が昨日の午後の会見で、「トランプ大統領から台湾の主権に関する問題で、中国政府を挑発しないよう助言があったとの記述があるが、そのような事実はない点は明確にしておく」と否定していました。この件では中国側がかなり厳しい姿勢を表し、民間レベルの行事にも影響が出ています。中国の王毅外相は27日、フランスのエマニュエル・ボンヌ大統領外交顧問と電話会談を行い、中国への支持を求めていました。  ウクライナとの停戦案を巡って、ロシアのプーチン大統領は、「全体として、これが将来の合意の土台になり得ることにロシアは同意する」と述べつつ、「だが、提案の最終版について自分がいま話すのは礼を欠くことになるだろう。そのようなものはないからだ」と語っていました。ロシア大統領府は26日、米国のウィトコフ特使が来週モスクワを訪問し、プーチン氏と会談する可能性が高いと発表。この前日にトランプ氏は、自身の和平案を巡り過去1週間で「とてつもなく大きな進展があった」と称賛しています。極めてロシア寄りだった停戦案は、欧州側からの要請もあり、ウクライナに配慮したものになっているようですが、どの程度中立的なものになったのか、来週にも判明する模様です。  本日は「ブラックフライデー」のため、NYでは株式と債券市場が短縮取引となります。「米国の利下げと、日本の利上げ観測」が急速に高まり、ドル円の上値は重くなってきました。一方その割には155円台半ば前後では確実にドル買いが出て、直ぐに156円台に押し戻される展開が続いています。やはり、「天王山」は来週1日(月)の植田総裁の講演内容ということになります。12月会合での利上げを示唆する内容になるのか、注目です。  本日のドル円は155円50銭~156円80銭程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
NY市場が休場のためドル円は小動き。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-11-28 10:15