FRONTEO、ライフサイエンスAI事業が成長をけん引

 FRONTEO <2158> は現在、AI(人工知能)創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」を中核としたライフサイエンスAI事業に注力している。DDAIFは2023年に提供を開始し順調な成長を続けている。今後、本格的な成長局面入りし、従来同社の主力だったリスクマネジメント事業(リーガルテックAI分野)にかわって、同社の成長をけん引していくことになりそうだ。  同社は11月、26年3月期業績予想について、連結売上高を従来の70億円から77億円(前期比26.2%増)に上方修正した。リスクマネジメント事業の売上減少を、ライフサイエンスAI事業およびDX事業の下期の売上高増加が補う見込み。特にライフサイエンスAI事業が計画以上に好調だ。AI創薬分野で、製薬企業と同社の創薬研究チームが密に連携(共創)しながら最終成果物の創出を目指す共創プロジェクトの受注数は、第2四半期末の段階で今期KPI(重要業績評価指標)の10案件を上回る14案件を獲得。また、非連続成長の戦略として推進する創薬エコシステムの構築も順調で、同事業の下期の売上増加と黒字化が見込まれる。 <「DDAIF」が創薬エコシステムを形成>  「DDAIF」は独自の自然言語処理AI技術を用いた高度なデータ解析処理力を備え、数万にも及ぶ膨大な文献情報を解析することで、2万-3万個といわれる遺伝子に関連する標的分子の中から、創薬成功確率の高い標的分子を迅速に抽出することができる。さらに、独自のアルゴリズムにより、文献に記載のない疾患と創薬標的分子の関連性を体系的に発見する独自技術を確立し、いわば人間の「ひらめき」に近い非連続的発見を可能にする点も強みだ。同社は「DDAIF」に関する複数の特許を取得しており、競合との圧倒的な差別化要因となっている。  7月に公表したすい臓がん新規標的分子候補の実験結果では、「DDAIF」を活用して極めて新規性の高い標的分子候補が複数発見された。発見までの期間は一般的なアプローチでは2年以上かかるところ、「DDAIF」を活用した今回はわずか2日で発見に至ったという。創薬分野では、First-in-Class(画期的な医薬品)創薬の重要性が増す中で、新規性があり、かつ有望な創薬標的分子候補を迅速に見つけ出せる「DDAIF」の重要性は計り知れない。また「DDAIF」は、標的分子候補から作用機序を解析し、関連する疾患のゲノム情報や新薬の安全性、その実験モデル提案まで、一貫した仮説を生成し、そのパスウェイマップも作成することができる。これにより、新たな標的分子候補の発見や、創薬のシミュレーションも可能になる。  「『DDAIF』の利用範囲は広く、いまやDry、in vitro(動物を用いない実験)、前臨床試験、臨床試験など、創薬に関するあらゆるステージで活用できる」と、同社でライフサイエンスAI事業をリードする豊柴博義取締役・CSO(Chief Science Officer)はいう。  「DDAIF」を中核とした創薬のエコシステムの構築により、同社は創薬工程をワンストップで支援できる体制を持つようになったといえる。収益獲得スキームの幅も広がり、大手製薬会社との契約一時金に加え、研究の進ちょくに応じたマイルストーン収入、新薬上市後のロイヤルティー収入など多様だ。そして何よりも「DDAIF」の活用で、過去にないほどのペースで創薬標的分子候補の発見が望めることに対する期待が大きい。顧客層は大手製薬企業にとどまらず、アカデミアや創薬ベンチャーへと広がっており、今後は顧客基盤の拡大と強化が見込める。さらにはプロジェクトの規模拡大、単価向上から、より一層の収益性強化も予想されよう。 <日本を再び創薬の地へ>  同社は、リスクマネジメント事業(リーガルテックAI分野)からライフサイエンスAI事業へと主力事業を転換する方針を打ち出し、今期はその方向へさらに大きく舵(かじ)を切った形だ。しかし、ライフサイエンスAI事業は同社にとってまったく新しい事業ではなく、リスクマネジメント事業で培った知見やノウハウがライフサイエンスAI事業でも活用できているという。それというのも、リスクマネジメント事業もライフサイエンスAI事業も「AIで未知の価値を発見する」点で共通し、AIで導き出された示唆を法曹関係者や医療関係者に説得力ある形で提示する必要がある点も共通している。  「創薬市場はリーガル市場よりはるかに大きく、世界規模で拡大が見込まれ、ライフサイエンスAI事業の成長ポテンシャルは非常に高い。ビジネスモデルはほぼ確立しており、今後は事業拡大を加速させていく。来期以降、米国を皮切りに海外展開を進め、より一層の成長を目指す」と、同社の守本正宏社長は話す。  米国における事業展開については、1月に「DDAIF」を米国特許商標庁において商標登録し、米国のコンサルティング会社Q Partners LLC(創業者・代表佐久間美帆、シニアパートナー・久能祐子)と戦略パートナー契約を締結した。7月にはオクラホマ大学と共同で、新たな創薬標的分子の探索やドラッグリポジショニング(既存薬の他疾患への転用)を目的とする研究を開始している。さらに、10月に米国カリフォルニア州で開催された創薬国際展示会「Discovery & Development US 2025」に初出展し、「DDAIF」をブース展示したほか、豊柴博義取締役・CSOが講演を行った。  日本はかつて新薬開発で高い評価を得ていたが、近年は創薬力低下が指摘されている。さらには欧米政府の創薬領域への巨額投資サポートにもかかわらず、欧米勢による創薬もイールームの法則のもとで破綻し始めており、世界的に創薬のハードルは一段と高まっている。こうした中で、「DDAIF」を中核とした創薬エコシステムを構築した同社の存在感は今後さらに高まる可能性がある。将来的には同社エコシステムが創薬に不可欠となり、同社が医薬品開発の在り方そのものを変革することにもなろう。薬を必要とするすべての人に適切な薬が届く世界を実現するとともに、日本の医薬品産業を自動車、半導体に次ぐ基幹産業へと押し上げ、「日本を再び創薬の地」へと導く役割が期待される。
 FRONTEO <2158> は現在、AI(人工知能)創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」を中核としたライフサイエンスAI事業に注力している。DDAIFは2023年に提供を開始し順調な成長を続けている。今後、本格的な成長局面入りし、従来同社の主力だったリスクマネジメント事業(リーガルテックAI分野)にかわって、同社の成長をけん引していくことになりそうだ。
economic company
2025-12-17 09:15