【為替本日の注目点】米雇用統計、強弱まちまち

 米雇用統計は強弱まちまちだったが、米金利が低下したことでドル円は154円40銭前後まで売られる。ドル安が進み、ユーロドルは1.1804まで上昇。およそ3ヵ月ぶりのユーロ高に。株式市場ではナスダックが買われたが、ダウは300ドル以上下げ、3日続落。債券は続伸。長期金利は4.14%台に低下。金は小幅に反落。原油はウクライナとロシアとの停戦が実現するとの観測から大幅続落。一時は55ドルを割り込み、2021年2月以来となる安値を記録。 10月非農業部門雇用者数 → -10.5万人 10月平均時給 (前月比) → 0.4% 10月平均時給 (前年比) → 3.7% 11月失業率 → 4.6% 11月非農業部門雇用者数 → 6.4万人 11月平均時給 (前月比) → 0.1% 11月平均時給 (前年比) → 3.5% 11月労働参加率 → 62.5% 10月小売売上高 → 0.0% 12月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 51.8 12月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)→ 52.9 12月S&Pグローバル総合PMI(速報値) → 53.0 ドル/円 154.40 ~ 154.98 ユーロ/ドル 1.1734 ~ 1.1804 ユーロ/円 181.51 ~ 182.47 NYダウ -302.30 → 48,114.26ドル GOLD -2.90 → 4,332.30ドル WTI -1.55 → 55.27ドル 米10年国債 -0.027 →4.145% 【本日の注目イベント】 日 11月貿易統計 独 独12月ifo景況感指数 欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値) 英 英11月消費者物価指数 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会に参加 米 ウォラー・FRB理事講演  やや上値を重くしているドル円ですが、昨日の東京市場では154円68銭近辺まで売られました。株式が売られ、日経平均株価は一時800円以上下げ、株価の下落を横目にドル円も売られた格好でした。米国でFOMCの利下げ見通しに影響を及ぼす可能性がある「11月の雇用統計」の発表を控えており、リスク回避の動きが優勢でした。  その米雇用統計では、11月の雇用者数が低調な伸びにとどまり、失業率は「4.6%」と、4年ぶりの水準に上昇しました。11月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比「6万4000人増」と、市場予想の「5万人増」より増加していましたが、労働市場の減速傾向は変わっていません。10月分については「10万5000人減」と、大きく減少していました。10月の雇用者減少幅は、2020年12月以来最大です。「これはトランプ政権の早期退職プログラムに応募した連邦政府職員が雇用状態から正式に外れ、同部門の職員数が16万2000人減少したことが背景にある」(ブルームバーグ)ようです。10月および11月の雇用者数の増減は、ここ数カ月における労働市場の不安定さを改めて浮き彫りにしました。失業率は上昇基調が続き、多くの失業者が新たな職を得るのに苦慮している状況が示された格好でしたが、それでも「来年1月のFOMC会合での追加利下げを促すほどではなかった」というのが、市場の受け止め方のようでした。FOMC会合では先週、3会合連続となる利下げを決定しました。パウエル議長は、労働市場が「徐々に冷え込みつつある」としたほか、一段と減速する「顕著なリスク」があると述べていました。ただそれでも、来年の追加利下げを巡ってはすでに当局者の間でも見解が分かれています。ドル円は発表後にドル売りの流れが続いていたこともあり一時154円40銭残前後まで売られ、これまでサポートと見られていた154円50銭近辺を割り込みました。短期的にはドル売りサインが点灯していますが、明日もインフレを確認する重要な指標である「11月の消費者物価指数」が発表されることもあり、市場参加者は積極的にドル売りを仕掛ける姿勢ではありません。アトランタ連銀のボスティック総裁は、16日に公表したエッセーで「あらゆる要素を検討した結果、労働市場に変化はあるが、物価安定がより明確で差し迫ったリスクだと引き続き考えている」とし、「インフレ圧力が早くとも26年半ばから終盤までに消える兆候はほとんどなく、26年末時点でもインフレ率は2.5%を上回るとみている」と論じていました。ボスティック氏は、9-10日のFOMC会合で金利据え置きを支持しただけでなく、2026年末まで据え置きを勧告していることを明らかにしています。  ウクライナのゼレンスキー大統領は今週、「欧米による強力な安全保証を条件に、NATOへの加盟を断念する用意がある」と述べていました。同国が和平案を受け入れる可能性があることを受けて、ロシアのリャプコフ外務次官はABCニュースとのインタビューで、「この恐ろしい危機の解決が目前に迫っていると、自身は強く確信している」と楽観的な見方を示しました。ただ、領土問題については協議が続いており、まだ合意には至っていません。ゼレンスキー氏は、「領土問題に関する国民投票は議題になっておらず、停戦が実現すれば選挙を実施する用意がある」と話していました。停戦の可能性が高まったことを受け、NY原油先物市場では「WTI原油価格」が大きく売られ、およそ4年10ヵ月ぶりの安値を記録しています。  ベッセント財務長官は、次期FRB議長候補者との面談が週内にあと1回か2回あると述べ、トランプ大統領による次期議長決定の発表は1月上旬になる可能性が高いとの見方を示しました。ベッセント氏は16日、FOXビジネスに対し、「次期FRB議長選出は、大統領のペースで進んでいる」と説明。「大統領は極めて慎重に選定を行っている。面談では候補者に対して極めて直接的に、FRBの政策やFRBの組織、今後の方向性、経済について尋ねている」と明らかにし、「次期FRB議長の発表は1月上旬になるだろうというのが自分の予想だ」と説明していました。また、ハセット氏が次期議長となる場合、自立した判断ができないのではないかという懸念から「適格性に欠ける」との見方について、ベッセント氏はそれを否定し、過去に経済政策に関わる政府の要職を務めた後にFRB議長に就いた例はあるとし、ジャネット・イエレン氏を例に挙げていました。  最後に、トランプ政権の重鎮の一人である、ワイルズ米大統領首席補佐官の発言が波紋を広げています。ワイルズ氏は米誌ヴァニティ・フェアとのインタビューで、EV大手テスラのイーロン・マスク氏を「公然たる薬物常用者」と表現。マスク氏以外にも言及し、トランプ政権の内情について率直な批判を展開しました。ワイルズ氏はバンス副大統領を「陰謀論者」、ボート行政管理予算局局長を「熱心な右翼狂信者」と呼んだほか、エプスタイン文書の取り扱いをめぐってボンディ司法長官を厳しく批判しまし。ただ、ワイルズ氏本人はSNSへの投稿で「重要な文脈が無視された」とし、「意図的な攻撃記事だ」と同誌を非難しています。ホワイトハウスのレビット報道官はワイルズ氏への支持を表明し、「スージー(ワイルズ氏)ほどトランプ大統領への忠誠が強い顧問はいない。トランプ政権は一丸となってワイルズ氏の安定したリーダーシップに感謝し、全面的に支持している」とXに投稿していました。ブルームバーグは、マスク氏とテスラの広報担当者にコメントを求めましたが、返答はなかったようです。ただ、マスク氏の薬物「ケタミン」の摂取については、米紙ニューヨーク・タイムズも今年報じています。  本日のドル円は154円~155円50銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
米雇用統計は強弱まちまちだったが、米金利が低下したことでドル円は154円40銭前後まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2025-12-17 10:30