金融政策の転換期、AIの技術革新による主役交代の可能性が拓ける2026年に投資家はどう動くのか? 野村アセットマネジメントの注目点

 野村アセットマネジメントは12月22日、メディア向けにオンライン会議を開催し、2026年の市場見通しについて発表した。運用部グローバルアクティブグループのシニア・インベストメント・オフィサーの前田有司氏はグローバル債券市場の見通しについて「主要国が財政拡張政策をとる中で財政規律が緩むリスクがある。また、グローバルな利下げ局面は転換点に接近し、慎重に各国の政策スタンスを見極めて債券ポートフォリオの組み替えを検討する局面にある」と語った。そして、同じくグローバルアクティブグループのチーフ・ポートフォリオマネージャーである浦山大輔氏は2026年のグローバル株式市場は「全体的に米国株式を中心に堅調な値動きが続きそうだ」という基本認識を示したが、「AI(人工知能)関連は引き続き市場の注目を集めるものの、注目される主体は広がり、変化していくことが考えられる」と語った。 ◆債券市場ではインフレが再加速するリスクに警戒  前田氏は、現在の経済環境を「高所得層は株高などによる資産効果もあって一段と消費に向かう一方、低所得層はインフレの高止まりと雇用環境の悪化によって消費をいっそう控える傾向を強めるなど、両極端な動きが併存する『K字型経済』の様相を強めている」とする。「K字型」については米国において労働統計局が発表するJOLT求人数が2022年の利上げ局面を契機に低下に転じて以来、右肩下がりに低下していることに対し、米国の代表的な株価指数である「S&P500」は上昇を続けるという「K字型」も例示した。このような「K字型経済」の下では、政府は中低所得者の生活を下支えするために財政拡張・金融緩和政策をとる方向に進む傾向が強い。「1970年代、80年代はインフレが下がり切らない環境で財政拡張・金融緩和政策に移行したことでインフレ率が上昇し、その後、強い金融引き締め策を余儀なくされた。この当時と同じようなことにならないか警戒が必要」と語った。  一方、12月に米国や英国が利下げを実施し、日本は利上げを行うという動きとなった金融政策については、日本を除く先進国における利下げは政策金利の水準が中立金利近辺に達していることから「利下げの打ち止めや利上げへの転換が近づいている」とみる。国内金利については、「12月の利上げに続いて、1月にも利上げを実施するようなことは考えられないが、インフレ率が依然として高水準にあり、財政拡張を材料視した金利上昇圧力も加わって、慎重なペースではあるものの利上げの継続が見込まれる」とし、年2%台に乗せてきた国内長期金利については「円金利の上昇が止まらないリスク」に注意する必要があるとした。  前田氏は当面の債券投資戦略として「米国債券に強気、国内債券を慎重とする現在の投資スタンスを当面は維持するものの、国内金利の上昇によって国内債を保有する利回りの魅力は高まっている。2026年は、どこかのタイミングで慎重なポジションにしている国内債券を増やすことをイメージしている。ただ、長期債の金利が上昇する一方で中短期債は上がりにくい環境にあるため、グローバル・アロケーションの変更とともに長短の債券の比率などメリハリの利いた投資行動が重要になる」と語っていた。 ◆グローバル株式市場の上昇続くもAI関連の主役は?  グローバル株式市場を展望した浦山氏は、カギとなる米国株式市場について「2025年は米トランプ政権の移民政策や関税政策が米国景気や企業業績にマイナスに影響したが、2026年は関税政策については各国との調整が進んできたこと、また、減税策なども具体化し、米国の政策が株式市場にとって逆風から追い風に変わることも期待できる」と語った。肝心な企業業績については、2025年は春から夏にかけて業績の下方修正が続き、「S&P500」のEPS(1株当たり利益)が270ドル台から265ドル割れの水準にまで押し下げられてしまったものの、2026年には310ドル弱の水準で2025年比13%程度の成長が期待される。PERの水準は22倍~23倍で特に割高ということでもないため、企業の利益成長に応じた株価の上昇が期待できる」とした。  また、株式市場で注目されている「AI投資の持続性」について「AI投資を主導しているハイパースケーラー(マイクロソフト、アルファベット、メタ、アマゾン)は既存事業の利益を再投資する格好で投資を継続しているため、投資の継続性に問題はない。AI開発の利用者が一部の企業に集中し相対での契約が増えていることから、投資の収益率が落ちてきていることを懸念する向きがあるが、より投資効率を追求するスタイルに変化しながら投資が継続するという流れになるだろう」とした。ただ、これまではAI関連の注目ポイントは半導体製造のエヌビディアとAI開発のオープンAIに集中していたが、足元ではアルファベットが開発した大規模言語モデル「Gemini3」とその開発に利用されたAI専用のカスタム半導体が注目を集めている。半導体はアルファベットが自社開発し、その半導体を競合社であるメタが採用する意向を示すなど、エヌビディア以外でも有力な半導体が生まれている。「今後は、AI関連半導体、関連部品、パートナー関係、そして、ブレークスルーによってAIを使った新薬開発など、AI投資の主役が変化していく可能性にも着目したい」と語っていた。
野村アセットマネジメントは12月22日、メディア向けにオンライン会議を開催し、2026年の市場見通しについて発表した。(画像はイメージ、提供:123RF)
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2025-12-24 12:00