【為替本日の注目点】FRBの独立性懸念高まる

ドル円は高市首相の解散報道を支えに堅調に推移。一時は158円20銭までドル高が進むが、一方で介入警戒感も強まる。ユーロドルは小幅に反発。FRBの独立性への懸念からユーロが買われた。株式市場では、FRBの独立性を巡る懸念から朝方は売られたが切り返し、3指数は揃って続伸。ダウとS&P500は連日の最高値更新。債券は小幅に下落し、長期金利は4.17%台に上昇。金はFRBを巡る懸念やイラン問題を背景に大幅高。原油は続伸。
ドル/円 157.71 ~ 158.20
ユーロ/ドル 1.1663 ~ 1.1698
ユーロ/円 184.34 ~ 184.67
NYダウ +86.13 → 49,590.20ドル
GOLD +113.80 → 4,614.70ドル
WTI +0.38 → 59.50ドル
米10年国債 +0.010 →4.175%
【本日の注目イベント】
豪 豪1月ウエストパック消費者信頼感指数
日 11月国際収支・貿易収支
日 12月景気ウオッチャー調査
米 12月消費者物価指数
米 9月、10月新築住宅販売件数
米 12月財政収支
米 ムサレム・セントルイス連銀総裁講演
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会に参加
米 決算発表→ BNYメロン、JPモルガン、デルタ航空
加 カナダ12月住宅建設許可件数
先週、時事通信社主催の「金融懇話会」に行ってきました。片山財務大臣の講演があるということで、昨年来「介入に対してはフリーハンドだ」と述べるなど、円安をけん制する発言を何度も行っており、「何かヒントになるものがあれば」という期待を持って参加した次第です。結論から言えば、為替に関しては一言も触れませんでした。そもそも、金融担当大臣という立場で講演を行ったこともあり、講演内容は終始、暗号資産、ステーブルコイン、そして、金融庁組織の再編についての話でした。ただ、その後に講演した同社特別編集委員の西野氏の講演は、長年の取材で培われた人脈などを駆使して得た「特別情報」で、非常に興味深いものでした。「ポスト植田」として、現時点ではほとんど未知数の中、5人ほど名前を挙げていました。中には、高市首相の政策の基本に近い、前日銀副総裁(現早大教授)の若田部氏の名前も挙がっていましたが、同氏の総裁への可能性はないという見立てでした。
先週末のNYでは、ドル円がほぼ1年ぶりに158円台に乗せて来ました。「12月の雇用統計」では、強弱の結果が入り交じり、市場ではしばらく157円台半ばを中心にもみ合いでしたが、一部新聞社から「高市首相、衆院解散を検討」との記事が流れたことでドル円は一気に158円台に乗せ、158円18銭まで買われました。週明けの昨日は、東京市場が休場でしたが、それでも2回ほど、158円台に乗せ、昨日のNYでも158円20銭前後までドルが買われています。ただ、この水準では介入警戒感も強く、さらに円を売る動きは一旦抑えられています。政府が何度も円安けん制を行ってきた水準よりもさらに円安が進んだわけで、当然と言えば当然です。ただ、この流れは今後もまだ続くと予想しています。ドル円はこの先どこかの時点で、昨年のドルの高値である158円88銭近辺を試すと予想していますが、要は、「誰が猫に鈴をつけるのか」ということです。
一方で、今後のドル高を予想する上で不安がないわけではありません。トランプ大統領の露骨なまでの「アメリカファースト」に加え、ベネズエラ攻撃と、さらにはイランとの交戦の可能性も浮上してきました。そして昨日は、パウエルFRB議長が司法省から召喚状を受けたとの事態が発生しました。FRBの独立性という意味では、これまでに見られなかった事態です。パウエル議長は11日、首都ワシントンにあるFRB本部の改修工事を巡る昨年6月の議会証言に関連して、刑事訴追の可能性を示唆する大陪審への召喚状を司法省から受け取ったことを明らかにしました。パウエル氏は、FRBが9日に召喚状を受け取ったとしています。FRBに対するトランプ政権による一連の攻撃と見られますが、トランプ大統領は11日にNBCニュースのインタビューに応じ、司法省が連邦準備制度を捜査していることについて、「自身は一切把握していない」と述べています。これまでにもトランプ氏からの執拗な大幅利下げ圧力に屈せず、さらに同政権を批判することも避けてきたパウエル氏でしたが、今回はさすがに限界を超えたのでしょうか、異例にもトランプ政権を批判しています。
パウエル議長は11日夜に発表した書面と動画の声明で、今回の措置はFRB本部の改修工事を巡って、自身が昨年6月に上院銀行委員会で行った証言に関連していると述べました。一方で、この動きは「政権による脅しや継続的な圧力という、一段と広い文脈の中で受け止めるべきだ」とも指摘しました。また、今回の措置は自身の証言や改修工事に起因するものではなく、「それらは口実だ」と発言。「刑事訴追の脅しは、連邦準備制度が大統領の意向に従うのではなく、公共の利益に資すると判断した最善の評価に基づいて金利を設定していることの結果だ」とコメントしました。議長は声明でさらに、「これは連邦準備制度が証拠と経済状況に基づいて金利を設定し続けることができるか、それとも金融政策が政治的圧力や威嚇によって左右されることになるのかという問題だ」と指摘していました。
今回の一連の動きに対しては共和党内部からも批判の声が挙がっています。上院共和党のマカウスキ議員は、パウエルFRB議長に対する司法省の捜査を受けて、上院銀行委員会でFRB人事の承認に反対票を投じるとした共和党のティリス上院議員の判断を支持すると表明しました。マカウスキ氏は12日、パウエル議長と同日に話をしたとXに投稿し、司法省の捜査を「威圧行為」だと批判しました。また、上院銀行委員会メンバーのティリス議員は11日夜の声明で、「この法的問題が完全に解決するまで、次期FRB議長のポストを含め、FRBのいかなる候補者の承認にも反対する」と述べています。それ以外にも様々な声が挙がっています。ブルームバーグはコラムで、「ついにここまで来てしまった。11日夜、FRBが大陪審への召喚状を司法省から受け取ったというニュースが飛び込んできた。パウエル議長が本部ビル改修工事に関し、昨年議会で虚偽の証言を行ったとの主張に基づいたもので、刑事訴追の可能性が示唆されている。これは奇妙で、危険なだけでなく、自傷行為的なアプローチであり、米国やその金融システムに害しか及ぼさない。確かにFRBのガバナンスは単純ではなく、現在の形での独立性は民主的説明責任という面で多くの問題がある。だからといって公的な機関であるFRBと、退任が決まっている議長を、司法省や法律を使ってどう喝することは1ミリも正当化されない」と厳しく断じています。また、日経新聞は「パウエル氏が強硬姿勢に転じた背景には、トランプ氏によるFRB支配がいよいよ現実味を帯びてきたことへの危機感もありそうだ」と論評しています。この異例な事態は、FRBの独立性に黄信号が灯ったという意味で、ドル売り要因かと思います。昨日のNYでは、影響はあったものの混乱には至っていません。ただ、今後も波乱要因であることはまちがいないと思われます。
本日は株高に伴って円売りがどこまで出るのかという点と、介入警戒感のせめぎ合いの展開か?ドル円は、157円40銭~158円60銭程度のレンジを予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は高市首相の解散報道を支えに堅調に推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2026-01-13 10:30