【為替本日の注目点】米12月のCPIは予想を下回る

欧州市場の朝方に159円台に乗せたドル円は、NYでは1年半ぶりとなる159円19銭まで買われる。CPIが予想を下回り、FRBによる利下げ観測が強まったものの、日本の衆院解散報道が円売りを加速。ユーロドルは1.16台半ばを中心に小動き。株式市場はCPIの低下により利下げ観測が強まったにもかかわらず、3指数が下落。ダウは398ドル安と大幅に下落。債券相場は横ばい。長期金利は4.17%台で変わらず。金は4日ぶりに反落。イラン情勢の悪化に原油は4日続伸し、2ヵ月ぶりの高値に。
12月消費者物価指数 → 2.7%
9月、10月新築住宅販売件数 → 73.8万件、73.7万件
12月財政収支 → -144.7b
ドル/円 158.58 ~ 159.19
ユーロ/ドル 1.1634 ~ 1.1678
ユーロ/円 184.96 ~ 185.45
NYダウ -398.21 → 49,191.99ドル
GOLD -15.60 → 4,599.10ドル
WTI +1.65 → 61.15ドル
米10年国債 ±0 →4.175%
【本日の注目イベント】
日 城内経済財政担当相講演
中 中国 12月貿易収支
米 10月、11月生産者物価指数
米 11月小売売上高
米 経常収支(7-9月)
米 12月中古住宅販売件数
米 米連邦最高裁が意見公表。トランプ関税を巡る判断を下す可能性
米 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
米 ミラン・FRB理事講演
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会に参加
米 決算発表→ バンク・オブ・アメリカ、ウェルズファーゴ、シティーグループ
ドル円は先週末のNYで158円台に乗せ、昨日の東京市場では昨年1月に記録した2025年のドルの最高値である158円88銭を抜き、NYではついに159円19銭まで「円売り」が進みました。特にNYでは、米金利が上昇したわけでもなく、株価も下落し、イラン情勢の悪化等で、円が買われてもおかしくはない状況の中、円安が進行しました。材料は偏(ひとえ)に日本サイドにありました。先週末のNYで一部新聞社から「高市首相、衆院解散を検討」との記事が流れ、これが円売りにつながりましたが、昨日は共同通信が、「高市早苗首相が、23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散する意向を自民党幹部に伝達した」と「解散日」まで報じたことが引き金になっています。高市首相は、支持率が高いことを背景に、23日に解散し2月に総選挙を行い、できれば少数与党ではなく、単独で政権を維持出来ればという思惑もありそうです。高市政権の長期化は、積極財政の維持、さらには財政拡大を連想しやすいことが円売りに拍車をかけた形です。
パウエル議長の異例とも思えるトランプ政権批判を巡る波紋が広がっています。アラン・グリーンスパン氏らFRBの歴代議長や元経済当局者らは12日、トランプ政権のパウエルFRB議長に対する刑事捜査はFRBの独立性に対する「前例のない」攻撃だと非難しました。グリーンスパン氏に加え、イエレン前FRB議長、バーナンキ元FRB議長のほか、共和・民主両党の大統領によって任命された国家経済会議(NEC)委員長ら10人が署名した声明は「報じられているパウエルFRB議長に対する刑事捜査は、検察当局による攻撃を用いて独立性を損なう前例のない試みだ」とし、「脆弱な制度を持つ新興市場では、このような形で金融政策が決定され、インフレや経済機能全般に大きな悪影響をもたらしている。経済的成功の基盤である法の支配を最大の強みとする米国では、このようなやり方は通用しない」と非難しています。
さらにECBやBOEなど、世界各国の中央銀行当局者も13日、パウエルFRB議長と「全面的に連帯する」との声明を発表しました。声明は「中央銀行の独立性は、私たちが奉仕する市民のための、物価、金融、経済の安定の礎だ。従って、法の支配と民主的説明責任を完全に尊重し、その独立性を維持することが極めて重要となる」と指摘していました。背景には、世界で最も重要な中央銀行であるFRBにおいて、金融政策の自律性が積極的に解体されつつあるという懸念の高まりがあるとされています。各国中銀による集団的行動は、通常、2008年の金融危機や、コロナ禍のような世界的な緊急事態のために留保されており、個々の中央銀行総裁の名前で示されるのは極めてまれです。ただ、G7のうち、日銀の植田総裁は署名していません。日銀広報課は、「他国の中央銀行等の対応についてコメントすることは差し控える。中央銀行の独立性が、物価の安定を実現するために重要であると認識しており、この点は日本銀行法においても明確に規定されている」と、ブルームバーグの取材にコメントしています。米国政府と対峙することを常に避ける日本政府の行動に歩調を合わせた格好ですが、今回の件で独立性を守るG7中銀の行動に参加しない日銀には多くの人が失望を禁じ得ないでしょう。パウエル氏は11日夕方に発表した書面と動画での声明で、「刑事告発の脅威は、連邦準備制度が、大統領の意向に従うのではなく、国民に奉仕するために最善と考える判断に基づいて金利を設定した結果だ」と述べました。カナダ中銀のマックレム総裁は、パウエル氏を「公職の最高の人材」と評し、「全面的な支持」を表明する声明を発表しています。マックレム氏はブルームバーグへの電子メールで、「パウエル議長は困難な状況下で非常に優れた仕事をし、FRBが政治ではなく、根拠に基づき金融政策の決定をするよう導いている」と述べていました。
さらに民間の金融機関からも非難の声が挙がっています。JPモルガン・チェースのダイモンCEOは13日、トランプ政権によるFRBへの攻撃が、中央銀行の独立性を損ない、借り入れコストを押し上げる恐れがあるとの見方を示しました。ダイモン氏は、「私たちが知る限り、誰もがFRBの独立性を信じている。その独立性を損なうような行為は、おそらく得策ではない。私の見解では、逆効果をもたらすだろう。インフレ期待を高め、時間の経過とともに金利を上昇させる可能性が高い」と述べています。そしてダイモン氏は、「私はパウエル氏を非常に尊敬している」と語っていました。これに対してトランプ大統領は「ダイモンCEOの発言には賛成しかねる」と述べ、「FRBへの対応およびパウエル議長の刑事捜査に関し、政府の行動に問題はない」と反論しています。
デンマークの自治領グリーンランドのニールセン首相は13日、米国への統合を断固として否定し、デンマークとの連合を望むと表明しました。ニールセン氏は、コペンハーゲンでデンマークのフレデリクセン首相との共同記者会見を開き、「私たちは今、地政学的危機に直面している。もし今ここで米国とデンマークのどちらかを選ばねばならないなら、デンマークを選ぶ。私たちが選ぶのは、今日私たちが知るグリーンランド、つまりデンマーク王国の一部であるグリーンランドだ」と、決意を述べていました。ニールセン氏は、「現状は非常に深刻で、トランプ政権によるグリーンランド併合の脅威はまったく筋違いだ」と発言。人口5万7000人のグリーンランドでは、デンマークからの独立が長く議論されてきました。記者会見で「グリーンランド側が独立議論を止めるべきか」と問われ、ニールセン氏は「今こそ団結すべき時だ。グリーンランドはデンマーク王国内に位置し、基本原則を守るために完全に結束している」と答えました。英国とドイツが主導する欧州国のグループは、北極圏の安全保障に対する欧州の真剣さをトランプ大統領に示すため、グリーンランドへの軍事展開計画を協議しています。
このように、今日のコメントも震源地はほぼトランプ大統領を巡るものでした。この他にも、数千人規模の死者が出ているイランのデモに関して「抗議を続けよ。あなたたちの機関を掌握せよ。支援が向かっている」とSNSに投稿しています。そんな中、今日のドル円の動きにも影響を与える可能性のある「米連邦最高裁の意見公表」には注目です。トランプ関税を巡る判断を下す可能性があるからです。
本日のドル円は157円80銭~159円80銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
欧州市場の朝方に159円台に乗せたドル円は、NYでは1年半ぶりとなる159円19銭まで買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2026-01-14 10:45