【為替本日の注目点】欧州、米国に報復措置を検討

ドル円はNY市場が休場のため小動き。高市首相の解散を巡る会見を控え、円を売る動きが優勢となり158円14銭近辺までドルが買われる。ユーロドルは、トランプ大統領がグリーンランドを巡り、欧州8カ国に追加関税を示唆したことで「ドル売りユーロ買い」が活発に。ユーロは1.1649前後まで上昇。米国と欧州の貿易戦争の可能性が再び浮上し、DAXなど欧州主要株式市場では株価が軒並み下落。
ドル/円 157.90 ~ 158.14
ユーロ/ドル 1.1611 ~ 1.1649
ユーロ/円 183.48 ~ 184.14
NYダウ ------ → 49,359.33ドル
GOLD ------- → 4,595.40ドル
WTI ------- → 59.44ドル
米10年国債 ----- → 4.223%
【本日の注目イベント】
独 12月生産者物価指数
独 1月ZEW景気期待指数
欧 ユーロ圏11月経常収支
英 12月失業率
英 ILO失業率(9-11月)
米 米最高裁が意見公表、トランプ関税に関する判断を示す可能性
高市首相は、23日に衆院を解散すると正式に表明しました。これまで否定的だった食料品にかかる消費税の軽減税率を、一時的に引き下げることを公約に掲げ、来月8日投開票の総選挙(1月27日公示)に臨むと、昨日夜の記者会見で発表しました。高市氏は、食料品の消費税ついて、2年間に限り軽減税率の対象から外す考えを表明。自民党と日本維新の会との連立政権合意書に盛り込んだ政策でもあり、「私自身の悲願でもあった」と語っていました。具体的な実施時期については言及しませんでしたが、共同通信は昨日、2027年1月から実施と、報道していました。一部には、「食料品の消費税ゼロ%は2年限定とされているが、一度導入すれば元に戻すのはほぼ不可能だろうと」との声もありました。一方、立憲民主、公明両党が結成した「中道改革連合」も同日発表した基本政策の中で、財源を示しながら食料品の消費税ゼロ%を、さらに推し進め「恒久的に引き下げる」ことを掲げています。
高市氏は、衆院解散に踏み切った理由について、昨年10月の首相就任後、「政権選択選挙の洗礼を受けていないことをずっと気にかけてきた」と説明。その上で、「自身が首相でよいのかどうか、国民に決めてもらうしかないと考えた」と説明。また、政権が掲げる「責任ある積極財政」は、これまでの経済財政政策を大転換するものだとした上で、行き過ぎた緊縮財政の呪縛を乗り越え、すぐに着手する責任があるとも発言しました。この日、債券市場ではこれらの発言が予想されていたのか、債券は売られ長期金利は一時4.27%台まで上昇し、27年ぶりの高水準を記録する場面がありました。高市氏はさらに、衆院選での獲得議席目標について、自民と維新の「与党で過半数を目指す」とし、「内閣総理大臣としての進退をかける」と言明。信任を得られれば、「その後の政策実現のスピードを加速することができる」と述べ、一方で、「信任をいただけなければ責任を取る」と決意を述べていました。為替に関しても言及していましたが、「投機的な動きには注視、必要な対応を打つ」と、述べるに留めていました。
トランプ大統領がグリーンランド併合に反対するNATO同盟国に追加関税を課すと脅したのは、レッドライン(越えてはならない一線)で、EUは経済的威圧への対抗を念頭に用意された措置の活用を検討すべきだと、ドイツのクリンクバイル財務相は主張しました。同財務相は、「われわれは新たな挑発と敵意を次々と目の当たりにしている。トランプ氏がそれを意図しているからだが、それが限度に達したと、われわれ欧州人は明確にする必要がある」と、フランスのレスキュール経済・財務相と並んでベルリンで語っています。この問題を巡りEU首脳は22日に緊急会合を開くことを決めています。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、EUは追加関税など930億ユーロ(約17兆円)規模の報復案を示し、トランプ大統領に撤回を求めると報じています。欧州8カ国に10%の追加関税を課すという脅しは、トランプ流の「ディール」であることは明白ですが、一歩間違えば、欧米間の貿易戦争につながるリスクがあります。トランプ氏が大統領に復帰して以来、欧州との関係が悪化していますが、今回の問題では、比較的近いとされる英国のスターマー首相もトランプ氏を厳しく批判しています。
ドイツのキール世界経済研究所は、トランプ大統領が米国への輸入品に課した関税は、ほぼ全てが米国の輸入業者やその米国内顧客、最終的には米国の消費者によって負担されているとの研究結果を示しました。同研究所が19日に公表した報告書は、「外国の輸出業者は、米国の関税引き上げに対応して価格を引き下げてはいない」と指摘しています。その上で、米政府の「関税収入が2000億ドル(約31兆6000億円)増加したということは、米国の企業と家計から2000億ドルが引き出されたことを意味する」と結論付けていました。このような見方は、昨年4月2日に多くの国・地域に対して極めて高い関税を発表した当初から指摘されており、「関税の引き上げは、結局米国民が負担し、インフレ再燃につながる」という見方です。研究では、関税負担のうち外国企業が負っているのは約4%にすぎず、96%が米国の買い手に転嫁されていると指摘されています。また、「関税は外国の生産者に対する税ではなく、米国人に対する消費税として機能している」と、キール研究所の研究者は、結論付けています。また研究は、昨年高率で広範な米国の関税対象となったブラジルとインドにも焦点を当てており、50%の関税が発効した後も、ブラジルの輸出業者はドル建て価格を「大幅には引き下げなかった。インドでも同様の傾向が見られた」とし、「政権は関税を、米国の家計に負担をかけることなく、貿易相手国から譲歩を引き出し、米政府の歳入を生み出す手段と位置づけてきたが、研究では逆の結果を示した。米国の輸入業者と消費者が、ほぼ全てのコストを負担している」と、論じていました。この研究結果が、トランプ氏の耳に届くことを願いたいと思います。
最後に、気になるデータを。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータによると、ヘッジファンドなどは、13日までの1週間に円のネットショートを3万5624枚増やしたことが判明しました。1週間の増加幅としては2015年5月以来の大きさで、増加は5週ぶりです。昨年4月のトランプ関税発表に重なる時期には、「円買いドル売り」は、17万9000枚と、記録的な「円ロング」でしたが、その後は徐々に円買い枚数が減少し、去年12月には「ほぼゼロ」でした。そして今年の第1週辺りでは目立った動きはありませんでしたが、13日時点では一気に円売りが増加しており、先週ドル円が159円45銭まで買われた動きに合致します。もちろん、彼らのポジションメイクが常に正しいわけではなく、これまでにも何度も「失敗」は観られていますが、日本の衆院解散総選挙観測による財政悪化などの影響が警戒される中、円に対する弱気姿勢を強めていることはうかがえます。
本日のドル円は157円~158円80銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はNY市場が休場のため小動き。(イメージ写真提供:123RF)
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2026-01-20 10:30