1年にわたって資金流入が継続して純資産残高1000億円突破、「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」の魅力

東京海上アセットマネジメントが設定・運用する「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」の「毎月決算型」、「年1回決算型」、「年6回決算型」の純資産総額の合計が昨年12月末に1000億円を超えた。中でも純資産総額が830億円を超えている「毎月決算型」は、2025年12月まで12カ月連続で月間での資金流入が継続している。同ファンドの好調な運用成績や資金流入が継続していることの背景について、東京海上アセットマネジメント執行役員ビジネス開発本部共同本部長の浅野孝氏(写真)に聞いた。  ――日本を除く世界の株式から「高い参入障壁等により、一定の地域においてモノ・サービス等を独占・寡占していると判断する企業=モノポリー企業」に投資するファンドということですが、このファンドの組み入れ銘柄は、電力や送配電、有料道路、空港など公益企業やインフラ企業となっており、今市場の注目度が高いAIや半導体などのハイテク株は組み入れ上位銘柄にありません。それでも過去1年間にわたって毎月着実な資金流入が続いているのはなぜでしょうか?  岸田政権下で進められていた「貯蓄から投資へ」の政策は、2024年1月にスタートした「新NISA」によって新しいステージに入ったと考えられますが、「新NISA」以前の「つみたてNISA」などを含めた投資家層のすそ野拡大の歴史を振り返ってみると、3つくらいのステージがあると考えています。ひとつは、「つみたてNISA」を通じた「長期・分散・つみたて」投資のツールとして運用コストの低いインデックスファンドが選ばれて「MSCI ACWI」や「S&P500」などの指数に連動するインデックスファンドの残高が急速に拡大しました。次に、インデックスファンドの好調なパフォーマンスに後押しされて、より高いリターンを求めて「成長株」に投資するアクティブファンドが人気を集めるステージがありました。  そして、インデックスファンドや半導体やAI、宇宙などといった「ハイ・ベータ系」のファンドが2年、3年にわたって上昇したものですから、昨年あたりからは高値警戒感もあって、値動きの大きなファンドばかりでなく、値動きが穏やかなファンドも注目されるようになりました。投資先を分散してポートフォリオとして資産管理をしていこうという動きがでてきているようです。そこでは、高配当株や債券を含めたバランス型ファンドなど、インカム収益も狙った安定的な運用成績が重視されます。当ファンドの組み入れ上位に並ぶ公益株は、安定的に高い配当収益が期待されるセクターであるだけに、3つ目の流れの中で注目度が高まりました。  また、2025年4月にトランプ大統領の関税ショックによって世界の株式市場が大きく下落した時に、当ファンドは下落率が小さく、メディアによって海外株式型の中で「最も下落率が小さかったファンド」として取り上げられたことも追い風になりました。株式市場全般が下落基調の時には、モノポリー企業は業績の安定度合いが高いために市場の下落に抵抗できます。株式市場全般に高値警戒感があるような不安定な市場環境の時に人気化しやすいという傾向があります。  ――公益企業に投資して高い配当利回りを得ながら安定的な収益をめざす「公益株ファンド」と比較すると、「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」はパフォーマンスの出方が異なっているのですが、一般的な「公益株ファンド」とは何が違うのでしょうか?  当ファンドは、世界の上場企業約5万社から、競争優位性や価格決定力を備え、企業利益の75%以上が規制や契約で守られ、市場で独占的な立場を築いている企業かどうかに着目して銘柄を選別投資しています。  こうした企業は、外部環境に左右されにくい安定した収益構造を持つため、一般的な公益株ファンドとは異なり、着実なリターンとディフェンシブ性を兼ね備えたポートフォリオとなっています。  当ファンドを実質的に運用するマゼラン・アセット・マネジメント社は、オーストラリア・シドニーに本社を置く運用会社です。オーストラリアはインフラ資産の民営化が早くから進んだことなどから、インフラ資産運用が活発な地域として知られ、同社はそのような環境のもとで運用力を磨いてきました。マゼラン社の運用担当者は、「公益株であっても企業ごとに収益の安定性は大きく異なる」との視点を持ち、独自の調査を通じて価格決定力や経営の質が高い企業を選び抜いています。  組み入れ銘柄の特性上、ファンドの平均PERは20倍前後の水準で安定的に推移しています。これは、投資対象がいずれも強い価格支配力を持ち、景気変動などによる収益のブレも小さく、業績の予見性が高いためです。  一方、投資対象が成長株の場合、予想業績が良い局面ではPERの拡大とともに株価が上昇しますが、予想が下振れする局面ではPERも縮小し、株価が大きく下落しがちです。これに比べ、当ファンドが組み入れる企業は景気の変動やインフレ等の外部要因の影響を受けにくく、業績の予想と実績の乖離が小さいため、比較的安定して推移する点が特徴です。  2025年12月末時点の組み入れ銘柄数は90銘柄です。比較的多くの銘柄に投資することによって、「公益株」と「インフラ関連株」、それ以外の企業とのバランス、また、アメリカへの投資比率が38%程度と地域分散も取れたポートフォリオになっていることなどが、パフォーマンスに影響していると思います。  ――毎月決算型は1万口当たり150円の分配金を毎月(年間で1800円)出しています。分配金利回りが年12%を超える高い利回りになっていますが、「毎月決算型」の分配方針は?  分配方針は、非常に保守的な基準を設けています。分配可能原資の積み上がり状況を確認した上で、数年先まで見据えて、現在の分配を行っていくと分配余力が後何年あるかということを常にウオッチしながら分配金の金額を決めています。現状は無理のない水準で出していますので、当面は現状の水準が維持できるのではないかと考えています。  ――ファンドのパフォーマンスは安定した右肩上がりが特徴です。特に過去1年間のパフォーマンス(2025年12月末時点で19.83%)は、「MSCI-KOKUSAI」に連動するインデックスファンドとそん色のないリターンになっています。過去1年で「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」の成績が良かったのは、投資環境が味方した部分があったのでしょうか?  世界経済の成長が加速する局面では、その成長のエンジンといえるような産業に関連のある企業群が大きく成長します。2000年の「ITバブル」の時のIT関連銘柄、そして、足元では「AI関連銘柄」の急速な成長などがあげられると思いますが、その先端技術が人々の生活に浸透していくフェーズになってくると、公益や公共インフラの出遅れが是正される局面がやってきます。AIの成長が終わったわけではないのですが、勢いが良かった部分が一定程度は是正され、出遅れていた銘柄群の水準訂正が進んだ局面だったのではないでしょうか。  また、これまでは経済成長の中心はアメリカで、アメリカが先端技術を開発するという流れがあって、多くの投資家もアメリカ一極集中の投資をして、その果実も得てきたわけですが、そのアメリカが「アメリカ第一主義」を打ち出したことで、「アメリカにだけ投資していれば世界の成長を取り込める」という、これまでの常識が変わってきたのではないでしょうか。世界経済が多極化・多角化の時代を迎え、アメリカに集中する力が働く世界が逆回転して遠心力が働いて、成長エリアが広範囲に広がって分散するような世界観が強くなっているように感じます。各地域において圧倒的なシェアを持つ企業でポートフォリオを構築する当ファンドは、そのように成長エリアが広がる世界観と親和性があるということが足元のパフォーマンスにつながっているのかもしれません。  ――今後を展望すると、当ファンドにとって追い風となる環境が続くと考えられますか?  当ファンドは、市場の環境に一喜一憂するようなファンドではありません。「今が買いのタイミング」というような、タイミングを見計らって投資するような商品ではないと思っています。どのタイミングで投資をしても、運用成果をコツコツと稼ぎ出してくれるファンドという性格があります。「毎月決算型」の設定は2020年3月ですが、その2020年から2025年まで6年間にわたって年間パフォーマンスはずっとプラスをキープしています。  当ファンドを運用しているマゼラン社では、元本の保全性を重視しているファンドマネージャーが誠実・実直に運用しています。華やかさとか、派手さがあるファンドではなく、地道にリターンを積み上げるファンドなのですが、運用しているマゼラン社は、機関投資家の皆さまからも評価していただいている私どもの投資商品を選ぶ目利き(ゲートキーパー)としての能力で評価しても指折りの運用会社の1つといえる素晴らしい会社です。  「貯蓄から投資へ」という流れの中で、預貯金に眠っていた資金が、今、投信に流れ込んできています。その受け皿の1つとして、決して派手な活躍をするファンドではないのだけど、投資タイミングを気にせずにいつでも購入できるファンドの1つとして検討していただきたいと思います。
「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」の好調な運用成績や資金流入が継続していることの背景について、東京海上アセットマネジメントの浅野孝氏(写真)に聞いた。
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2026-01-28 11:00