【為替本日の注目点】FRB議長にウォーシュ氏

 次期FRB議長にウォーシュ元FRB理事が指名されたが、候補者の中ではタカ派寄りと見られ、ドル円は154円79銭まで買われる。ユーロドルは小幅に続落。ドルが買われたことで、1.1852まで下落。株式市場では、利下げが思ったほど進まないとの見立てから3指数は揃って下落。債券は小幅に下落。長期金利は4.23%台に。連日買われていた金は大幅下落し、一時は12%を超える場面も。前日比609ドル下げ、4745ドルに。原油は反落。 12月生産者物価指数 → 0.5% 1月シカゴ購買部協会景気指数 → 54.0 ドル/円 153.98 ~ 154.79 ユーロ/ドル 1.1852 ~ 1.1924 ユーロ/円 183.22 ~ 184.07 NYダウ -179.09 → 48,892.47ドル GOLD -609.70 → 4,745.10ドル WTI -0.21 → 65.21ドル 米10年国債 +0.044 → 4.235% 【本日の注目イベント】 日 日銀金融政策決定会合における主な意見(1月22、23日分) 中 1月RatingDog製造業PMI 独 独12月小売売上高 独 独1月製造業PMI(改定値) 欧 ユーロ圏1月製造業PMI(改定値) 英 英1月製造業PMI(改定値) 米 1月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) 米 1月ISM製造業景況指数 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演  トランプ大統領が次期FRB議長にケビン・ウォーシュ氏を正式に指名しました。大方の予想通りの決定でサプライズはありませんでしたが、市場の反応にはやや驚きました。トランプ氏の意向に沿った人事であることから、大幅な利下げ期待から、株高、ドル安、金利低下を予想していましたが、市場の反応は全く逆でした。  最も大きく反応したのが、「金」でした。金価格は一時12%安まで売られ、4745ドルで引けました。ただ、これは次期FRB議長の人事が全て影響したのではなく、要は、買われ過ぎていたことの反動だと思います。「永遠に上がり続ける相場はない」ということで、筆者はどこかでこのような動きが出ると予想していましたが、今回の人事がそのきっかけを与えたということだと思います。その他にも、株価が下げ、ドル円は思ったほど金利がさがらないとの見立てから154台後半まで買われ、週明け早朝のオセアニア市場では155円台を回復しています。ブルームバーグは今回ウォーシュ氏が指名されたことについて、「ウォーシュ氏は、次期FRB議長の座を争ったハセット国家経済会議(NEC)委員長ほどトランプ大統領に近い存在とは見られていないが、同氏の見解は、インフレ圧力が続く中でホワイトハウスからの大幅利下げ要求に屈するのではないかとの懸念を呼んでいる」と論じていました。  ウォーシュ氏は2006年、当時のブッシュ(子)大統領によってFRB理事に指名されました。金融危機のさなかでさえ高めの金利を唱え、インフレ到来を繰り返し警告したことで知られています。国債購入プログラムを長年批判しており、バーナンキ元FRB議長が景気刺激を目的とした第2弾の国債買い入れに踏み切った後の11年にFRB理事を辞任しました。また、金融危機の際、ウェルズ・ファーゴへのワコビア売却を仲介し、08年秋には大手銀9行に数十億ドルの資本を供給する計画の立案者でもありました。インフレを防ぐことには積極的な人物と受けとめられたのかもしれません。ウォーシュ氏の指名は上院の承認を得る必要がありますが、FRBを巡る司法省の捜査を背景に、共和党の有力議員が問題解決までFRBの人事を認めないと表明しており、手続きは複雑化しているようです。さらに、FRB議長に誰が就任したとしても、政策金利はFOMCの過半数でしか決められず、議長の票は1票に過ぎません。広く尊敬を集めるパウエル氏でさえ、昨年12月には3会合連続の利下げに向けて幅広い支持を探るのに苦労した経緯もあります。このように考えると、政策を主導する力には限界があるとも言えそうです。ただ、この先思ったほど利下げが進まないようだと、「トランプ大統領の逆鱗に触れる」可能性があります。大幅な利下げを期待して送り込んだウォーシュ氏が期待通りの政策を遂行しなければ、盟友といえども容赦はしないトランプ氏のこと、その時は罷免される可能性があります。昨年12月の候補者選定の際、トランプ氏は、「私の意見に反対する人物は議長にはなれない!」と豪語していました。今回ウォーシュ氏を指名した際にも、「(ウォーシュ氏が)偉大な、おそらく最高のFRB議長の一人として記憶されるであろうことに疑いの余地はない」と称賛しており、トランプ氏の期待値の高さをうかがわす発言を行っています。指名された同氏のコメントはまだ入って来ていませんが、第一声を持って、同氏がこれまでの歴代議長と同様に、正統派の偉大な人物か、あるいは単なる「茶坊主」であるかが分かるかもしれません。  昨年、バージニア州、ジョージア州の知事選、さらにはNY市長選で敗北したトランプ共和党でしたが、今度は共和党支持者が圧倒的に多いテキサス州の上院議員補選の決選投票で、民主党候補に敗れました。この選挙は、この秋行われる中間選挙の前哨戦と見なされ、トランプ大統領自身が終盤に支持を表明するなど介入していました。投票が行われたタラント郡にはフォートワースが含まれ、2024年の大統領選ではトランプ氏がハリス前副大統領に「17ポイントの差を付けて勝利」していました。今回の選挙で共和党候補は、トランプ大統領からの応援にもかかわらず、「11ポイント余りの差で落選」しています。テキサス州上院で過去に民主党が議席を得たのは、1992年が最後で、34年ぶりの快挙となります。「民主党全国委員会(DNC)のマーティン委員長は声明で『この勝利は全米の共和党に警鐘を鳴らした。議席が安全な共和党議員は誰もいない』と述べた」とブルームバーグは報じています。物価高に加え、トランプ氏の歯に衣着せぬ言動に、米国民は「ノー」を突きつけた気がします。このままでは秋の中間選挙でも共和党が劣勢に立たされる可能性があり、今後トランプ氏が巻き返しの「奇策」に出て来ることも想定されます。  高市首相は1月31日、神奈川県川崎市内での演説会では、足元の円安について、「輸出企業に大きなメリットがある」と発言し、さらに、「外為特会というのがあるが、これの運用が今ホクホク状態だ」と述べたことについて、1日SNSで、「外為特会の外債の運用等、利子・配当などの海外からの収入も改善するといったプラス面もあり、その旨を申し上げた」と投稿。「円高と円安のどちらが良いか悪いかではなく、為替変動にも強い経済構造を作りたいとの趣旨で語った」と説明しました。通常、首相が為替について言及することはありませんが、この日は熱烈な支持者を前に、やや舞い上がり、口を滑らせてしまったのだろうと思います。  155円台半ばまで反発したドル円。159円23銭の高値から151円94銭まで下げた値幅の半値戻しは、「155円59銭」と計算され、「半値戻しは全値戻し」という言葉もあります。  本日のドル円は154円~156円程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
次期FRB議長にウォーシュ元FRB理事が指名されたが(イメージ写真提供:123RF)
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2026-02-02 11:30