【為替本日の注目点】トランプ氏、イラン発電所への攻撃を5日間延期

 トランプ大統領の、「イラン発電所への攻撃を5日間延期する」との発言で、原油価格が急落。ドル円も159円台から158円03銭まで下落。ユーロドルも反発。1.16台を回復し、1.1640までユーロ高に。株式市場では3指数が揃って大幅に反発。イラン情勢に好転の兆しが見えたことで株価は全面高。ダウは631ドル高で取引を終える。債券も買われ、長期金利は4.34%台に低下。ただ、原油が大幅に下げた割には、債券高は限定的だった印象。金は大幅続落。東京時間に100ドルの大台に乗せた原油は前日比10%以上となる大幅な下げに。 ドル/円 158.03 ~ 159.01 ユーロ/ドル 1.1548 ~ 1.1640  ユーロ/円 183.64 ~ 184.24 NYダウ +631.00 → 46,208.47ドル GOLD -167.60 → 4,407.30ドル WTI -10.10 → 88.13ドル 米10年国債 -0.038 → 4.342% 【本日の注目イベント】 日 2月消費者物価指数 独 3月製造業PMI(速報値) 独 3月サービス業PMI(速報値) 欧 ユーロ圏3月製造業PMI(速報値) 欧 ユーロ圏3月サービス業PMI(速報値) 英 3月製造業PMI(速報値) 英 3月サービス業PMI(速報値) 米 3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) 米 3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) 米 3月S&Pグローバル総合PMI(速報値)  またまたトランプ大統領の発言に市場は翻弄されました。  前日、航行再開に向けて48時間の最後通告を発し、海峡を開放しなければイランの発電所を攻撃すると警告を発したトランプ氏が、今度は、警告期限の10時間ほど前に、「イランのエネルギー関連インフラおよび発電所への攻撃計画を5日間延期する」と発表しました。トランプ氏は23日、ウィトコフ特使と娘婿のクシュナー氏がイランの「最高位の人物と前日に協議し、すでに重要な合意点がある」と記者団に説明。双方とも「合意を望んでいる」とし、23日に再び電話で協議を行うと続けました。その後訪問先のメンフィスでトランプ氏は、「イランには米国とその同盟国に対する脅しを終わらせるチャンスがもう1回ある。イランがそれをつかむことをわれわれは望んでいる」と発言。「全員にとって非常に良い合意になる可能性は十分にある」と付け加え、「イランの核兵器保有は容認されない」と繰り返しました。  戦争激化への懸念が高まっていた中でのトランプ氏のコメントは、これまでの発言を考えると予想外ではなかったものの、発言直後にブレント原油先物は112ドルから96ドルまで、14%余り急落しました。原油価格の下落がそれまでのポジションの巻き戻しを誘い、ドル円は午後8時ごろには159円60銭台から158円台前半まで急落。NY市場では株価が全面高を見せる一方、債券も買われ金利が低下。金も大幅に売られました。ただそれでもドル円158円台で推移し、思ったほど売られていません。米長期金利が思ったほど低下しなかったことがその理由かもしれません。トランプ氏の「48時間」発言で、昨日の東京時間にはWTI原油先物価格が100ドルの大台に乗せたことで、日経平均株価は一時2600円ほど下げ、5万800円台まで売られる場面がありました。トランプ氏の二転三転する発言に翻弄され、痛い目にあっている投資家も少なくはないと思われます。  しかし、まだこのまま終わるとも思えません。トランプ氏によると、イラン側の協議相手は最高指導者のモジタバ師ではなく、アクシオスがイスラエル当局者の情報として報じたところによると、ウィトコフ氏とクシュナー氏はイラン議会のガリバフ議長と協議しているとしています。しかし、ガリバフ氏はXで、米国側と交渉したことはないと明言。イラン国営テレビは、過去数日に仲介国を通じて米国から交渉の打診を受け取ったが、イランはまだ返答していないと報じました。またトランプ氏は、米国は交渉に「5日間」の時間を与え、その期間はエネルギーインフラへの攻撃を控えるとトランプ氏は述べ、さらに「その行方を見守る。うまく行けば、それで解決する。そうでなければ、ひたすら爆撃を続けるだけだ」と語っています。これより前にトランプ氏は、ペルシャ湾岸地域への海兵隊派遣を指示しています。派遣される中には、2000人以上の兵員から成り、沖縄に司令部を置く「第31海兵遠征部隊」も含まれていると報じられています。ブルームバーグは、トランプ氏の第一次政権下で国家安全保障会議(NSC)に在籍したフレッド・フライツ氏の発言を紹介し、同氏は合意に関するトランプ氏の発言について「大統領による、相手を欺く動作かもしれない。これが大規模軍事作戦の終わりの始まりになればいいと思う」との期待を示したと伝えています。  ホルムズ海峡がイランにより完全に封鎖された場合、その代替ルートとなるのが、アラビア半島を横断して紅海からのタンカーで原油を運ぶ案です。その中核を担うのが1980年代に建設された全長1200キロメートルのパイプラインです。中東情勢が変化する中で重要性を増しているこの東西パイプラインは、同国東部の巨大油田からアラビア半島を横断し、紅海沿岸の港湾都市「ヤンブー」までつながります。ブルームバーグによると、現地にはサウジ産原油の積み込みを待つ大型タンカーが集結し、船舶は日々増えているそうです。通常、ホルムズ海峡を通過する原油は1日当たり約2000万バレルで、世界消費の5分の1を占めるそうですが、このパイプラインでどの程度カバーできるのか、不明です。ただ今朝の情報によると、イラク産原油200万バレルを積載した超大型タンカーが、ホルムズ海峡を通過したことが23日わかったとのことです。イラン戦争によりホルムズ海峡が事実上封鎖されて以来、イラクの原油を運ぶ船舶が確認されたのは初めてで、ブルームバーグがまとめたタンカー追跡データによると、10日以上前にペルシャ湾内から信号を発信した商船三井が運航する「オメガ・トレーダー」ではないかとしています。戦争開始以来、ホルムズ海峡を通過したタンカーはわずか数隻しかなく、オメガ・トレーダーの通過は、状況の緩和を示す兆候の可能性もあると報じています。  原油価格の高騰を背景に、FRBが年内に「利下げではなく、利上げを行う」可能性も浮上する中、シカゴ連銀のグールズビー総裁は23日、CNBCのインタビューで「インフレが落ち着けば、今年中に複数回の利下げを行う状況に戻る可能性もある。もし状況が異なる方向に進み、インフレが制御不能になった場合、利上げが必要になる状況も想定できる」と述べていました。また、SFシスコ連銀のデーリー総裁は、「不確実性の下では最も可能性の高い単一の道筋は存在しない。経済には少なくとも二つの可能性のある道筋がある。中東の紛争が早期に解決すれば、石油やエネルギー価格は低下し、米経済への影響は短期的で限定的にとどまる。一方、紛争が長期化すれば、エネルギー供給の混乱とそれに伴うコスト圧力が持続し、インフレ上振れや成長鈍化、労働市場の弱体化といったリスクが高まる可能性がある」とXに投稿しています。FOMCは先週、政策金利の据え置きを決め、イラン戦争による不確実性がある中でも、年1回の利下げを行う可能性を引き続き示唆しました。しかしその後、金融市場でインフレ懸念が高まったため、現在、フェデラルファンド(FF)先物市場では、2026年の利上げ確率が利下げ確率を上回っている状況です。  本日のドル円は157円50銭~159円30銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
トランプ大統領の、「イラン発電所への攻撃を5日間延期する」との発言で、原油価格が急落。(イメージ写真提供:123RF)
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2026-03-24 10:15