【為替本日の注目点】為替市場は『原油本位制』の動き

ドル円は原油価格が上昇したことで159円台まで買われたが、その後原油価格の下落に伴って158円38銭まで売られる場面も。ユーロドルも1.16を挟み方向感が定まらない展開。株式市場は3指数が反落。イラン情勢の不透明感に加え、原油価格が再び上昇したことで売り優勢の展開に。債券も反落。長期金利は4.36%台に上昇。金は小幅ながら5日続落。WTI原油価格は4ドル以上上昇し、92ドル台に。
3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 52.4
3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 51.1
3月S&Pグローバル総合PMI(速報値) → 51.4
ドル/円 158.38 ~ 159.18
ユーロ/ドル 1.1558 ~ 1.1628
ユーロ/円 183.76 ~ 184.26
NYダウ -84.41 → 46,124.06ドル
GOLD -5.30 → 4,402.00ドル
WTI +4.22 → 92.35ドル
米10年国債 +0.018 → 4.360%
【本日の注目イベント】
豪 豪2月消費者物価指数
日 日銀金融政策決定会合議事録(1月22日―23日分)
日 1月景気先行指数(CI)(速報値)
日 1月景気一致指数(CI)(速報値)
独 独3月ifo景況感指数
欧 ラガルド・ECB総裁講演
英 英2月消費者物価指数
米 2月輸入物価指数
米 2月輸出物価指数
米 経常収支(10-12月)
前日大きく下げた原油価格でしたが、トランプ大統領の発言が定まらないことでイラン情勢の先行きが読めず、再び切り返してきました。足元では、全ての金融商品が「原油価格」の動向で上げ下げが決められており、昨日はWTI原油価格が92ドル台まで上昇したことで、株式と債券、さらには金も売られ、ドル円は159円台まで上昇する場面もありました。
「関係者はトランプ氏がイラン情勢の出口を模索しているのか、新たな攻撃のための時間稼ぎなのかを探りあぐねている」(日経新聞)と指摘されるように、「48時間の最後通告」をしたと思ったら、翌日には「イランと前向きな交渉をしているため、5日間の猶予を与える」と述べるなど、トランプ氏の発言は一貫していません。またイラン側との交渉を評価しながらも地上部隊の派遣も辞さないとしています。今朝の報道では、イランから誠意の記しとして「贈り物」が提示されたと示唆しました。トランプ氏は贈り物の詳細は明らかにしませんでしたが、「極めて多額の価値がある」と語っていました。一方、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米国が第82空挺師団から約3000人の部隊を中東に派遣する計画だと報じています。同紙によると、戦闘部隊の派遣命令が間もなく発出される見通しで、これに先立ち、FOXニュースも、第82空挺師団の師団長、テグトマイヤー少将が司令部要員とともに派遣命令を受けたと伝えています。米国防総省はコメント要請には応じていませんが、WSJ紙は、イランに地上部隊を投入するかどうかについて、政権はなお決定していないと報じています。「ノースカロライナ州フォートブラッグに駐屯する第82空挺師団は、世界のどこへでも18時間以内に展開できるよう設計・訓練された精鋭の即応部隊だ。奇襲作戦の実施や飛行場などの重要拠点の確保を任務としている」とブルームバーグは説明しています。
イラン側でも同国のカッツ国防相は「全力で」軍事作戦を継続すると表明。イランは23日夜から24日未明にかけ、イスラエルが続ける爆撃への報復として、同国のテルアビブ、エイラートの各都市や、中東にある米軍基地に向けてミサイルやドローンを発射しました。一方、イランからの攻撃を受けている湾岸諸国も、さすがに黙っているわけにはいきません。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)などペルシャ湾岸の米同盟国は、イランに対する姿勢を硬化し始めました。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、「サウジは自国の電力や水処理施設が標的にされる場合、イランを攻撃する用意があると米国に伝えた。サウジのムハンマド皇太子はトランプ氏に対し、戦争を継続して地域の抜本的変化を支援するよう働き掛けている」との記事を掲載していました。
米国とイスラエルがイランへの軍事行動を起こしてから間もなく4週間になります。トランプ氏が「戦争はまもなく終わる」と述べた言葉を、そのまま信じていた人はほとんどいなかったと思いますが、事態は混沌として、この先どのような展開になるのか予想も困難な状況です。トランプ氏がイランに対してどのように考えているのか、また、イランとの間でどのような事が進んでいるのか、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)が4つのシナリオを描きました。
1.トランプ氏は戦争の出口を模索している可能性がある。これはかなり可能性が高いとBEはみる。勝利を宣言しつつ長期的な関与を回避できる余地は急速に狭まっている。ブルームバーグ・ニュースの報道によれば、米国の同盟国やペルシャ湾岸諸国は、トランプ氏が警告したエスカレーションが壊滅的な結果を招きかねないとホワイトハウスに伝えていた。実際に協議が始まっていないとしても、トランプ氏は交渉に真剣であることを示すことで、イランを交渉の場に引き出そうとしている可能性がある。
2.トランプ氏は不安定化した市場を安心させようとしている可能性もある。これもかなり可能性が高いとBEは考える。トランプ氏がイランのエネルギーインフラへの攻撃を警告し、イランが報復の構えを示したことで、市場は緊張状態にあった。トランプ氏は市場動向に敏感だ。
3.実際に協議は行われているが、トランプ氏がその進展を誇張している可能性だ。こうした事態はあり得るとBEはみる。トランプ氏は非公式のやり取りに言及している可能性がある。イランは関与しているかもしれないが、米国とイスラエルによる攻撃が続く限り、それを認めることを望んでいない可能性がある。仮に協議が進行中であっても、合意条件を巡る双方の隔たりは大きいと想定される。
4.トランプ氏がさらなる軍事行動の時間を稼ごうとしている可能性もある。海兵隊の2部隊と複数の軍艦が中東に展開されており、トランプ政権は追加部隊の派遣も検討中と報じられている。これも可能性としてはあるが、米国は既に戦争状態にあり、戦術的利点は限定的と考えられる。
そして、「最も可能性が高いのは、トランプ氏が戦争の出口を模索して、米国として交渉を追求しつつ、市場を安心させるためにその進展を誇張しているというシナリオだと、BEは分析する」としています。本稿の最初に紹介した日経新聞の見方と合致していました。
何が何でも金利を引き下げたいと、FRBに対して執拗に圧力をかけ続けているトランプ氏。一方で、金利引き下げどころか、引き上げの可能性も浮上してきた「根本的要因である原油価格の高騰」を招いているのが、自身が決断を下したイランへの攻撃です。米国ではすでにガソリン価格をはじめ物価の高騰が続いています。戦争が長引けば長引くほど戦費も膨らみます。そして、最悪のシナリオは11月の中間選挙で共和党が敗北することです。トランプ氏自身、その辺りの状況は十分理解していると思われます。悩み多き、まもなく80歳になる大統領です。
本日のドル円は157円50銭~159円30銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は原油価格が上昇したことで159円台まで買われたが(イメージ写真提供:123RF)
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2026-03-25 10:30