【為替本日の注目点】米イランに15項目の和平計画を提案

イランとの戦争終結にやや希望が持てる状況になったものの、ドル円は底堅く推移。午後には再び159円台に乗せ、159円50銭まで上昇。ユーロドルは前日とほぼ変わらず、1.16を挟む展開。米国からのイランへの停戦条件が示されたことを受け、株式市場では3指数が揃って上昇。S&P500は35ポイント上昇し、ナスダックは167ポイント高。債券は反発。長期金利は4.33%台へ低下。金は6日ぶり反発。原油も売られ90ドル台に。
米 2月輸入物価指数 → 1.3%
米 2月輸出物価指数 → 1.5%
米 経常収支(10-12月) → -190.7b
ドル/円 158.77 ~ 159.50
ユーロ/ドル 1.1555 ~ 1.1618
ユーロ/円 184.02 ~ 184.45
NYダウ +305.49 → 46,429.49ドル
GOLD +150.30 → 4,552.30ドル
WTI -2.03 → 90.32ドル
米10年国債 -0.028 → 4.332%
【本日の注目イベント】
米 新規失業保険申請件数
米 ジェファーソン・FRB副議長講演
米 クック・FRB理事講演
米 ミラン・FRB理事講演
米 バー・FRB理事、討論会に参加
原油価格は依然として乱高下していますが、昨日のNYでは、米国が15項目からなる和平案を策定し、パキスタンがイランに伝達したことで、原油は90ドル台まで売られました。原油価格の動き次第で多くの金融商品の動きも決まってくる相場展開の中、昨日は原油価格の低下が株と債券の買いにつながり、金も買われました。一方、このような状況では通常ドルが売られるケースの多かったドル円は買われ、159円50銭まで上昇する場面もありました。中東原油への依存度が圧倒的に高い円への信頼度は依然低いようです。
15項目の停戦案では、イランによる核開発プログラムの放棄、核兵器を決して開発しないという約束、「代理勢力」への支援停止、ホルムズ海峡の封鎖解除、ミサイル攻撃能力への一定の制限受け入れなどが含まれています。米国はその見返りとして、全ての制裁緩和に加え、対イラン国連安保理制裁および他の制限措置を再適用するスナップバック発動の脅威を取り除く。イランは民生用原子力プログラム開発で米国の支援を受けることになるとのことです。ただイラン側は、この15項目の戦争終結計画案を拒否しています。イラン側は、空爆被害の賠償および補償などを含む5つの条件を提示しています。これにはホルムズ海峡に対するイランの「主権認定」も含まれると、イランの国営TVが報じていました。
「48時間の最終通告」を宣言したと思ったら、「5日間の攻撃猶予」。そして今度は「15項目の戦争終結案」と、これら一連の動きは、明らかにトランプ政権が「早期の停戦」を望んでいることの現れと思われます。さらに言えば、原油価格の高騰がその根底にあり、このまま原油価格が高止まりすると、米国内で物価高が続き、11月の中間選挙で敗北するリスクが高くなることが、停戦を急がせているのでしょう。ロイター通信は、トランプ大統領の支持率は前回から4ポイント下げ、「36%」になったと報じています。物価高と、大義なきイランとの戦争が支持率低下につながったようです。トランプ氏の支持率は、昨年1月の大統領就任直後は「47%」でした。このまま中間選挙を迎えると、敗北する可能性は高いと予想されます。
すでにその兆候も出ています。トランプ大統領が私邸「マール・ア・ラーゴ」を置くフロリダ州第87選挙区で行われた州議会下院の特別選挙は、大統領が支持する共和党候補を民主党候補が打ち破るという番狂わせとなりました。開票作業がほぼ終了した段階で、民主党のエミリー・グレゴリー氏の勝利が確実になりました。調査機関ディシジョン・デスクHQによれば、同氏の得票率は51%を超え、共和党の対立候補メープルズ氏は48.8%にとどまったとのことです。闘いは、1000票に満たない僅差だったようです。トランプ氏は2024年の選挙では、パームビーチを含むこの選挙区を大差で制していました。ブルームバーグは、「今回の敗北は共和党のみならず、トランプ氏個人にとってもダメージが大きい。同氏は23日、メープルズ氏に『全面的かつ完全な支持』を与えるとSNSに投稿していた。ここ数カ月に行われた補欠選挙や特別選挙で、民主党の勝利や善戦が顕著になっている。昨年末にはアイリーン・ヒギンズ氏がマイアミ市長選の決選投票に勝利し、民主党としては約30年ぶりのマイアミ市長が誕生した」と論じています。さらにブルームバーグは、「複数の世論調査でトランプ政権の経済運営に対する不満が示される中、民主党は国政だけでなく州・地方レベルでも勝機を見いだしている。イラン戦争に対する国民の不支持も、民主党の楽観と共和党の不安を一段と強めている」と分析していました。民主党選挙対策委員会の報道官は、「フロリダ州議会の共和党に残された時間は少ない。フロリダ州の共和党議員団が提供しているのは混乱とスキャンダル、そして物価上昇だけであり、有権者はうんざりしている」と述べています。
昨日のコメントに書き残しましたが、トランプ大統領は23日、南部テネシー州メンフィスでの会合に参加し、イランに対する米軍事作戦を支持した最初の政権高官はピート・ヘグセス国防長官だったことを示唆していました。米議会紙ヒル(電子版)などが速報しました。同会合にはヘグセス氏も同席していました。トランプ氏は、対イラン軍事作戦を称賛する中で、「ピート、君が最初に声を上げたと思うよ。『彼らに核兵器を持たせるわけにはいかないから、やろう』と言ったのは君だった」と発言していました。トランプ氏のこの発言は、ヘグセス氏への「責任転嫁」だという見方も出ていました。先週18日のFOMC会合後の記者会見で、「FRB議長としての任期終了後も、理事としてFRBに留まる」と、異例の会見を行ったパウエル議長でしたが、ホワイトハウスのナバロ上級顧問は、「極めて有害なものになる」と述べました。同氏は「前任のFRB議長が現職議長の指導力に影を落とすような状況は望ましくない」と述べ、さらに、関税がインフレを招くとの見方を巡るパウエル氏の姿勢について、「理解していない」と批判しました。すでに次期議長にはウォーシュ元FRB理事が就任することが決まっていますが、議長就任には議会の承認が必要で、その承認が遅れている模様です。
ドル円は上値が重いものの、底堅い動きを見せています。先週159円90銭まで買われ、「160円にあと10銭」の水準まで行きながら、その後157円台半ばまで落されました。その後再び159円台を復活し、160円をうかがう動きになっています。160円台は、政府日銀にとっても「非常に重要な水準」です。だからこそ、片山財務相は執拗にけん制発言を繰り返しています。けん制発言自体は、もはやほとんど効果はないものの、市場参加者はドル買い姿勢を維持しながらも160円台乗せには慎重です。彼らも160円台が重要な意味を持つことを知っているからです。「猫に鈴」状態が続きます。
本日のドル円は158円30銭~160円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
イランとの戦争終結にやや希望が持てる状況になったものの、ドル円は底堅く推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2026-03-26 11:00