【為替本日の注目点】パウエル議長のハト派的発言で米金利低下

ドル円は東京時間の朝方、原油価格の高騰を受け160円46銭近辺まで上昇したが、その後はじり安の展開。三村財務官などが、介入姿勢を一段と強める発言を行ったことで警戒感が高まり、NYでは159円33銭まで円が買われる。ユーロドルは反落し1.1443まで売られる。日本の金融当局による介入を意識したユーロ円の売りがユーロドルを押し下げた形に。株式市場では、原油価格の高騰にもダウは小幅に反発。パウエル議長の発言で、利上げの可能性が大きく後退。他の2指数は小幅に続落。パウエル議長が「インフレは安定している」と発言したことを材料に債券は買われる。長期金利は4.34%台に低下。金は続伸。原油は大きく買われ102ドル台後半で戻って来る。
ドル/円 159.33 ~ 159.74
ユーロ/ドル 1.1443 ~ 1.1489
ユーロ/円 182.59 ~ 183.11
NYダウ +49.50 → 45,216.14ドル
GOLD +33.20 → 4,557.50ドル
WTI +3.24 → 102.88ドル
米10年国債 -0.080 → 4.348%
【本日の注目イベント】
豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
日 3月東京都区部消費者物価指数
日 2月失業率
日 2月鉱工業生産
日 マクロン仏大統領来日
中 3月中国製造業PMI
中 3月中国サービス業PMI
独 独3月雇用統計
欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(速報値)
英 英10-12月期GDP(改定値)
米 1月S&P Cotality CS20-City YoY NSA
米 1月FHFA住宅価格指数
米 3月シカゴ購買部協会景気指数
米 3月コンファレンスボード消費者信頼感指数
米 2月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、開会挨拶
米 ボウマン・FRB副議長講演
米 バー・FRB理事講演
トランプ大統領は、相変わらず金融・商品市場を安定させるため、戦争終結に向けた楽観的な見通しを述べる一方、イランを脅かす発言を繰り返しています。
トランプ氏は30日、SNSへの投稿で、ホルムズ海峡が再開されない場合には、イランの発電所と石油施設、「恐らく」淡水化プラントを「爆破して完全に破壊し、(イランでの)素晴らしい『滞在』を締めくくる」と投稿しました。トランプ氏はイランとの合意が近いと述べる一方、軍事行動の強化も辞さないと警告するなど、発言が揺れ動いています。ブルームバーグは、「ただ今回、水関連施設への攻撃に言及した点は、ジュネーブ条約で定義される戦争犯罪に該当する可能性がある」と報じています。この他にも、「イランとは停戦に向けた協議を行っており、順調にいっている」と発言しましたが、イラン側は「米国との協議は一切行っていない」と、これを否定。どちらかが嘘を言っていることになります。ホワイトハウスのレビット報道官は、米国が「日に日に戦闘力を強め、より強力で標的を絞った攻撃を実施している」とした上で、作戦は「計画通りに進んでいる」と述べています。一方でトランプ氏と同様に、協議は順調に進んでいるとも強調。政権は、直接あるいは間接的に交渉相手となっているイラン当局者の名前は明らかにしていません。和平交渉を巡る不透明感が続いていますが、レビット氏はイラン側が交渉に「ますます前向きになっている」とし、戦争終結に向けて米国が提示した「項目の一部」に同意したと語っています。一方、イラン側は一貫して、和平の協議は進んでいないと主張し、戦争を長期間継続できる能力はあると示唆している状況です。レビット氏は「これらの人々は舞台裏ではより現実的な姿勢を見せている」とも指摘していました。
イランは前日、トランプ政権がパキスタンを通じて提示した停戦条件の15項目を公には拒否し、ホルムズ海峡に対する主権の主張などを含む独自の5条件を提示して対抗しています。トランプ氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、「正直に言えば、私が最も望むのはイランの石油を奪うことだが、米国内の愚かな連中は『なぜそんなことをするのか』と言う。だが彼らは愚かだ」と述べました。米国は戦争の今後の展開を巡り、食い違う内容のメッセージを発しています。このように、先行きに関しては依然として混沌としている中、日経新聞は電子版で、「それでも一点だけ、鮮明になってきたことがある。イラン情勢はどう動いても、世界にとってひどい結末になる恐れが強まっていることだ。トランプ氏が唱えた体制転換は起きず、イランはエリート軍事組織の革命防衛隊を軸とする軍事国家に転じていく。西側諸国の当局者や中東専門家らの間では、こんな見方が強まっている。つまり、イランは激しい怒りと復讐心に満ちた、『巨大な北朝鮮』のような国家になっていく公算が大きい。そうなれば、中東は長く戦争やテロの火種に覆われ、世界経済も爆弾を抱え続けることになるだろう」と、情勢を分析していました。
FRBのパウエル議長は30日、長期インフレ期待について、抑制されているようだとの認識を示す一方、米国とイスラエルによる対イラン戦争の影響を見極める中で注意深く監視していると述べていました。インフレ期待は「短期を超えてしっかり安定しているようだ」と、ハーバード大学で開かれたイベントで発言。「紛争の影響に対応する必要が生じる可能性はあるが、現時点ではその段階には至っていない」と述べ、「経済への影響がどうなるかは分からない」とした上で、「金融政策は様子見が可能な良い位置にあると考えている」との認識を示しました。さらに、「供給ショックは通常は重視しない傾向があり、その際に極めて重要なのはインフレ期待を注意深く監視することだ」とも語っています。イラン戦争に伴う原油価格の高騰は、インフレ圧力を高める一方で個人消費や経済成長の重しとなりかねません。そうなれば、最大雇用と物価安定の達成を目指すFRBにとって、政策運営が極めて難しくなります。
ブルームバーグは、「こうした中、パウエル氏は2つの目標の間で緊張が生じているとの認識を表明した。労働市場には下振れリスクがあり、これは金利を低く維持すべきであることを示唆している。一方で、インフレには上振れリスクがあり、これはおそらく金利を低く維持すべきではないことを示唆していると語ったことだ」と分析していました。パウエル議長の発言を受けて、売り込まれていた国債と株式には買いが入り、利回りは年限全般で低下。短期金融市場では利上げ観測がほぼ消え、年内利下げの可能性を再び織り込んだ格好でした。
三村財務官は昨日の朝方、「原油先物市場に加え、為替市場においても投機的な動きが高まっているという声が聞かれる。この状況が続けばそろそろ断固たる措置が必要になる」と述べ、これまでとはややトーンの異なる発言を行いました。その効果もあり、160円46銭近辺まで上昇していたドル円は下落に転じ、NYでは159円33銭まで下げました。ただ、それでも原油価格が高止まりしていることで、思ったほど円買いは進んでいません。トランプ大統領がイランへの攻撃を示唆していることが、その理由だと思われます。本稿執筆時点では、WTI原油価格はさらに大幅に上昇し、106ドル台半ばまで買われています。普段動かないアジア市場でもこのところ大きな変動を見せているWTI原油価格。今日も原油価格に踊らされそうです。
本日のドル円は159円~160円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間の朝方、原油価格の高騰を受け160円46銭近辺まで上昇(イメージ写真提供:123RF)
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2026-03-31 10:45