米国・AI株・グロース株偏重から分散をはかる高配当オーストラリア株式の魅力=フランクリン・テンプルトンに聞くオーストラリア市場の実態

AIブームをきっかけに米国テクノロジー株が集中物色された関係で、米国偏重となった株式ポートフォリオの分散化の重要性も指摘されるようになった。また、中東情勢の緊迫化など地政学リスクが高まっていることからも、分散投資によるリスク管理の必要性が説かれている。「フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(年2回決算型)」を設定・運用するフランクリン・テンプルトン・ジャパンの営業副本部長ウェルスリテール営業部統括の河﨑貴夫氏(写真:中央)と運用部シニアクライアントポートフォリオマネジャーの菊地裕也氏(写真:右)にウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也氏(写真:左)がオーストラリア株式の魅力について聞いた。
「フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(年2回決算型)」は、ウエルスアドバイザーが「NISA成長投資枠」にふさわしいファンドとして選定し発表している『Wealth Advisor Award 2025 ”NISA成長投資枠”WA優秀ファンド賞』を受賞している。同賞は2025年12月末時点において「成長投資枠」に登録されている2092本(ETF、DC、SMA、限定追加型を除く)のファンド中から、アクティブファンドに限定した1453本をユニバースとし、独自の定量分析、定性分析に基づき、より中長期の資産運用にふさわしいと判断された合計10本のファンドを厳選したもの。
◆不透明な市場環境で注目されるオーストラリア
朝倉:「フランクリン・テンプルトン・オーストラリア高配当株ファンド(年2回決算型)」は直近1年間の運用成績が非常に優れており、主要オーストラリア株式指数である「S&P/ASX200指数」を大きく上回るリターンを記録しております。このような成績がどのような形で実現されたかについて、また、足元の不透明な投資環境を踏まえ、なぜ今オーストラリア株式なのかというポイントについて、まず河﨑さんからお話しいただけますでしょうか。
河﨑氏:当ファンドはオーストラリアの株式市場に上場している銘柄の中でも、特に高配当株に注目して運用しております。オーストラリアといいますと、外部要因に影響されにくい点や、特徴的なセクター配分という点が大きな特徴として挙げられます。
注目ポイントは大きく3つございます。1つ目は分散の観点です。今日、世界経済はかなり不透明感が高まっており、トランプ政権下での地政学リスクの発生や戦争リスク、さらには通貨分散の問題としてドル安への懸念なども出てきております。投資家自身のマインドがアメリカ一極集中・ドル一極集中から、より通貨分散・地域分散へと変化しつつある中で、オーストラリアは安定した経済構造を持つ比較的注目度の高い投資先と見ております。
2つ目は、昨今のアメリカ株ブームやAIブームにより、多くの株式においてAI関連の比率が高まっている状況にありますが、オーストラリアは産業構造が他の国とかなり異なっておりますので、いわゆる非AIへの分散投資効果という点でも注目していただけるかと思います。
3つ目は、オーストラリア株式の比較的高い配当利回りです。これまでアメリカ株偏重やAIテーマのグロース株に投資する傾向が強かったかと思いますが、配当重視・安定性という観点からも、オーストラリア株は安定的なインカムを享受できる投資先として大きな魅力があると考えております。
朝倉:「米国一極集中への懸念」、「AIを中心としたグロース銘柄におけるセクターローテーションの進展」、そして「通貨分散の有用性」の3点ですね。通貨分散の観点では、オーストラリアドルは対円で1989年10月以来、35年ぶりの高値を更新しました。日本の投資家にはまだオーストラリア全体への馴染みは薄いと思うので、改めてオーストラリアの経済についてご説明いただけますか。
◆長期に成長を続けるオーストラリア経済と株式市場の特徴
河﨑氏:大きな特徴の一つとして、安定した成長が続いているということです。実は1992年から2019年まで28年連続でプラスの経済成長を続けています。2020年はコロナの影響で一瞬マイナスになりましたが、その後も堅調に回復してプラスの成長を続けています。
ちなみに、IMFの予想によりますと、2026年から27年の経済成長もプラス2%ということで、引き続き強い経済を誇っています。こうした堅調な経済成長の背景としては、外部環境への耐性の強さがオーストラリアの大きな特徴として挙げられます。特に、GDPの約7割を内需が占める内需主導型の経済である点が大きな特徴です。加えて移民の積極的な受け入れや自然増による人口増加が、労働市場の成長や住宅需要の増加などにつながっており、経済の健全さが維持されています。
朝倉:人口増加が続いているというのは意外と知られていないかもしれませんね。移民の受け入れがうまくいっている国なのでしょうね。ヨーロッパや日本などで移民問題が難しくなっている中、非常に頼もしいですね。では続いて、オーストラリアの株式市場の特徴について菊地さんからお話しいただけますでしょうか。
菊地氏:オーストラリアの株式市場の特徴として3点ございます。
1つ目はセクター構成です。オーストラリアの株式市場のセクター構成を見ますと、実はハイテクの比率が低く、代わりに内需関連セクターと呼ばれるものの比率が高くなっています。ハイテクというのは情報技術やコミュニケーションサービスといったところですが、内需関連セクターとは金融、不動産やインフラのような実物資産、そして消費関連といったセクターです。内需関連セクターの比率が高いということは、河﨑も申しましたように、外部環境の変化があった時にその影響を直接的には受けにくいという特徴があります。また、企業の収益成長を見ましても、他国と比べて比較的安定している傾向があります。
2つ目は資源セクターです。オーストラリアはご存知の通り資源大国という面があります。鉄鉱石やLNGといった従来型の資源に加えて、足元では金、銅、ニッケルといった次世代型資源と呼ばれる戦略的に重要な資源も保有しております。特に金については、オーストラリアは2024年時点で世界第1位の埋蔵量を誇っており、輸出においても金価格の上昇を背景に、鉄鉱石、石炭、LNGに次ぐ第4番目の輸出品目として存在感を高めています。
3つ目は予想配当利回りの高さです。オーストラリアの予想配当利回りの水準は高いわけですが、これを裏付けるのが配当性向です。企業が稼いだ収益の中からどれだけ配当に回すかという配当性向を比べますと、アメリカ(30.3%)や日本(35.2%)と比べてオーストラリア(64.2%)の配当性向は非常に高く、これが高い配当利回りの裏付けとなっております。
朝倉:脱グローバライゼーションや世界の地政学リスクを含む外部環境の影響を受けやすくなってきた中で、内需関連で比較的外部の影響を受けにくいという点、また資源が非常に重要なキーワードになってきているということ、そして配当性向が高いというのはなかなか知られていないポイントですね。では、オーストラリアの株式市場の主要プレイヤーについてはいかがでしょうか?
菊地氏:オーストラリアの株式市場の主要プレイヤーの一つが、国内の確定拠出型の私的年金、いわゆる「スーパーアニュエーション」です。オーストラリアでは企業が従業員の給料の約12%を年金として拠出する義務があります。そのため相場変動に関係なく、安定した拠出資金が長期の投資マネーとして株式市場に継続的に流れるという構図になっております。
オーストラリアの年金資産は、まず規模は世界第5位(2025年末時点)でアメリカ、カナダ、日本、イギリスに次ぐ規模があります。また、オーストラリアのGDPの162%に相当する規模であり、世界の中でも年金運用が成功している国の一つと言えます。
さらに、年金資産の中で株式への投資比率が約55%と、主要国の中で最も高い水準となっており、その株式の中でもオーストラリア株式への投資比率が高く、年金資産全体の約4分の1がオーストラリアの株式に投資されています。こうした仕組みにより、オーストラリアの株式市場には短期的な世界経済の変動に関わらず、年金マネーが安定的・継続的に流れ込み、株式市場を支えているという構図になっています。
朝倉:年金というのはロングタームの投資ですからね。それが定期的に株式市場に入ってくるというのは非常に頼もしい構図ですね。日本もiDeCoや確定拠出年金でようやく投資を始める方が増えてきましたが 変動資産に対する比率はまだ低いですね。オーストラリアは年金の55%が株式というのは非常に印象的です。そうした中で、このファンドの魅力について改めてお話しいただけますか?
菊地氏:ファンドはその名の通りオーストラリアの高配当株式を中心に投資を行っています。結果として、配当収入の確保と中長期的な資産の成長を目指しております。特徴としては、高配当株式というと単に配当利回りが高い株式に投資するのではなく、配当の持続性、その配当の持続性を支える企業の稼ぐ力が十分にあるかどうか、そして財務の健全性、こういったところを重視しています。
また、外部環境の影響を受けにくい内需関連セクター、具体的には金融、不動産、インフラのような実物資産、消費関連といったセクターの比率を高くしております。パフォーマンスについては、昨年1年間を見ますと、「S&P/ASX200指数」だけでなく、米国の代表的な株価指数である「S&P500」を上回るパフォーマンスとなっております。
◆NISAの長期資産形成で注目される高配当オーストラリア株式
朝倉:本当に今、いわゆるアメリカの「マグニフィセント7」と言われるAIを中心とした銘柄のリスクが出てきており、これまで以上にポートフォリオのシフトを検討すべき局面に来ていると言われています。「AI脅威論」として、テック中心だけでなく一般的な企業もAIの影響にさらされるという懸念が出ていますが、オーストラリア株式、そして当ファンドについてはいかがでしょうか?
菊地氏:そもそも「AI脅威論」というのは、アメリカのソフトウェア株が急落したことがきっかけとなって、ソフトウェアのビジネスモデルがAIによって取って代わられてしまうのではないかというリスクが意識されたものです。足元では、テクノロジー株だけでなく他のセクターにも影響が及んでいる状況です。
オーストラリアの株式市場は、ハイテク比率が低いことから急成長は期待しにくい一方で、安定性は高く、世界経済の変動で市場環境が悪化した時に持ちこたえる力が強いという捉えられ方をされてきました。当ファンドが投資しているのは、実体経済や実物資産に根ざした企業です。こうした企業はAIでは代替することができない物理的なオペレーションシステムを持っていたり、実需に根ざしたビジネスを展開していたりと、安定したキャッシュフローが定期的に入ってくるモデルで運営されている企業が多いです。
そのため、世界経済やマーケットの心理がぐらつくような時でも、収益や保有資産の価値は崩れにくいという特徴があります。足元で市場が動揺し不確実性が高まる中でも、当ファンドのこういった特徴は強みと言えますし、他のファンドとの差別化要因と考えております。
朝倉:投資家の方が米国以外のどこに資産を移そうかと考えた時に、オーストラリアはまだその真価が広く知れ渡っていない、非常に魅力的な市場だと感じます。河﨑さんにお聞きしたいのですが、日本の投資家がこのファンドを購入する際にまず考えるのはNISAの非課税口座だと思いますが、NISAを活用する上でこのファンドをどのように位置づければよいでしょうか?
河﨑氏:NISAは非課税で中長期的に運用を行う制度として作られています。長期投資という意味では、分散というのが最も重要な要素の一つになってくると思います。
今のいわゆるアメリカ偏重・AI株偏重・グロース株偏重という流れでは、マーケットにさらされる機会が大きく、ボラティリティもかなり大きくなりがちです。その意味では、オーストラリアの株式はアメリカ株や日本株とは一線を画す経済構造・株価の値動きをしておりますので、中長期的に安定的に運用するという観点ではオーストラリア株が非常に重要と考えます。
加えて、株価の値動きだけでなく、インカムがあるということの安定性もオーストラリア株の大きな魅力であり、オーストラリア株とアメリカ・世界のグロース株・日本株の組み合わせは、特にNISAの枠の中でその効果を発揮するのではないかと思っております。
朝倉:単に割安であるということではなく、しっかりと財務の安定性と利益成長もある会社に投資しているということですね。非常に魅力がありますね。日本の投資家の方の外貨保有は米ドルの次に多いのが豪ドルらしいですね。豪ドルという通貨自体には馴染みのある方が多いと思いますが、是非この機会にオーストラリア株にも注目していただきたいと思います。
河﨑氏:オーストラリアの大きな魅力というのはやはり分散投資です。
地域分散、通貨分散に大きな魅力があると感じております。その裏付けとなる内需重視の経済構造もかなり健全なものがありますし、非AIへの投資手段としての役割も大きいと思います。最後に、皆様にお届けする利回り構造、インカムに関しても比較的高いインカムを誇っておりますので、この機会に改めてオーストラリアへの投資を見直していただいて、このファンドをご活用いただければと思っております。
フランクリン・テンプルトン・ジャパンの河﨑貴夫氏(写真:中央)と菊地裕也氏(写真:右)にウエルスアドバイザーの朝倉智也氏(写真:左)がオーストラリア株式の魅力について聞いた。
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2026-04-21 13:15