【為替本日の注目点】米4月のCPI3.8%に上昇

ドル円は中東情勢の不透明さとCPIの上振れから157円77銭まで上昇。東京時間午後には一時156円台後半まで売られる場面があったが、直ぐに元の水準に。ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、依然として1.17台で推移。株式市場では出遅れていたダウは続伸。一方、半導体株が売られたことで他の2指数は反落。債券はCPIの発表を受け続落。長期金利は4.46%台まで上昇。金は続落。原油は続伸し102ドル台に。
4月消費者物価指数 → 3.8%
4月財政収支 → 215.0b
ドル/円 157.49 ~ 157.77
ユーロ/ドル 1.1722 ~ 1.1750
ユーロ/円 184.87 ~ 185.13
NYダウ +56.09 → 49,760.56ドル
GOLD -42.00 → 4,686.70ドル
WTI +4.11 → 102.18ドル
米10年国債 +0.050 → 4.463%
【本日の注目イベント】
日 3月国際収支・貿易収支
日 黒田前日銀総裁講演
豪 第1四半期賃金指数
日 4月景気ウオッチャー調査
欧 ユーロ圏1-3月期GDP(確定値)
欧 ユーロ圏3月鉱工業生産
米 4月生産者物価指数
米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、公開討論
片山財務相は昨日の午前ベッセント財務長官と会談を行い、中東情勢を受けた金融市場の動向について議論するとともに、日米の連携を確認しました。会談終了後の記者会見で片山氏は、足元の為替動向について「日米間で非常によく連携してきていることを確認した」と説明。今後とも昨年9月の日米財務相共同声明に沿って「しっかりと連携していくことを確認し、全面的にご理解を得た」と述べました。個人的には、足元の円安を考え、もっと突っ込んだ内容の会談になるのではと予想していましたが、会談内容はこれまでの日米の提携関係を超えるものではなかったようです。会談の内容を警戒していた市場では片山氏の会見を境に円が売られ、ドル円は157円台30銭近辺から157円65銭前後まで上昇しました。ただ、やっぱりこれでは終わりませんでした。午後3時前、ドル円は157円70銭台から一気に156円台後半まで1円程円高に振れる場面がありました。ベッセント財務長官が、「為替市場における望ましくない過度な変動に対応する上で、われわれのチーム間のコミュニケーションと協調の水準は引き続き安定的かつ強固だ」とXに投稿したことが円高につながりました。それでもこの投稿では、「円が安すぎる」といった為替の水準に関するものでもなく、外交上の「儀礼」、あるいは「置き土産」といった印象です。ドル円はその後、1時間もしないうちに157円台半ばまで反発しました。
4月の米消費者物価指数(CPI)では、総合は前月比で0.6%上昇(市場予想も0.6%)。前年同月比では3.8%(市場予想は3.7%)の上昇でした。およそ3年ぶりの大幅な伸びです。イラン戦争に伴うガソリン価格上昇のほか、食品の値上がりなどが全体を押し上げています。インフレ率は賃金上昇ペースを上回り、消費者にとっては厳しい状況です。また、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比2.8%上昇(市場予想は2.7%)。前月比では0.4%(市場予想は0.3%)でした。ブルームバーグは「今回のCPI統計は、イラン戦争に伴うエネルギーコスト急騰が米経済に打撃を及ぼしつつある状況を示した。ガソリン価格は過去2カ月間で約28%上昇した。食品や家賃、航空運賃なども前月比の上昇率が大きくなった。特に生活必需品の価格上昇が続いた場合、消費者の支出抑制につながる可能性がある」と分析していました。また、「抑制されているとみられていたインフレが再び加速しており、これは深刻な問題だ。インフレ高止まりの期間が長引くほど、消費者の負担は一層強まる」といった意見や、「仮に停戦が維持され、ホルムズ海峡の通航が近く再開されたとしても、原油生産の正常化や物流の回復には時間を要するため、高コスト状況は向こう数カ月続く」とするエコノミストの予想もありました。ブルームバーグ・エコノミクスは「消費者はガソリン価格の上昇に対応するため、他の支出を抑制している。一方、企業には値上げを行うだけの十分な価格決定力がない。その結果、コアCPIには鈍化の兆しが見られており、今後6カ月のCPI動向を見る上では、こちらの方がより重要なシグナルだと考えている」と、「総合」よりも「コア」に注目していました。
CPIの上振れを受けシカゴ連銀のグールズビー総裁は、インフレ指標が米経済全体に広がる物価上昇圧力を示しており、過熱の兆候さえ示している可能性があると指摘しています。グールズビー氏は米公共ラジオ(NPR)とのインタビューで「エネルギー以外の項目、例えばサービスに注目すると、それが基調的な景気過熱を示しているのであれば、FOMCはインフレ加速の連鎖をどう断ち切るかを考えなければならない」と語っています。さらにグールズビー氏はCPI統計について、「予想より悪く、関税やエネルギー価格の急騰の影響を受けないサービスインフレの加速を特に懸念している」と述べその上で、「米国にはインフレ問題があり、それを引き下げなければならない」と述べていました。CPIの上振れはある程度予想されてはいましたが、これで多くのFOMCメンバーが繰り返し、「労働市場よりもインフレがより懸念される」と述べていたことと整合する結果になりました。もっとも、今回の結果に最も頭を痛めているのはパウエル議長ではなく、トランプ大統領でしょう。これまで執拗にFRBに利下げを迫ってきましたが、3年ぶりの高水準を記録した今回のデータを目にしたら、もはや強気に圧力をかけることはできないと思われます。これは同時に、FOMCメンバーの中で唯一「利下げ」を主張しているミラン理事にも言えることです。
明日から中国を訪問し、習近平主席との首脳会談に臨むトランプ大統領ですが、訪問には多くの米国を代表する企業のCEOも帯同させています。訪中団には、アップルやアマゾン、メタ、ボーイングに加えて、JPモルガンやゴールドマン、ブラックストーン、シティグループなど大手金融機関の幹部も名を連ねていますが、ここにエヌビディアのファンCEOの名前がないことが話題になっています。言うまでもなく、エヌビディアは今や時価総額世界1位で、米国どころか世界を代表する企業です。トランプ大統領が今回の訪中に同氏を選ばなかったのは、同社の主力製品だったH2000を巡り、トランプ氏とファン氏との間に確執があり冷遇されたとのもっぱらの噂です。多くの企業経営者を帯同させる今回の訪中では、「イラン問題よりも貿易」を重視している模様で、トランプ氏自身も「習主席とはさまざまな問題について話し合うが、何よりも貿易が中心になるだろう」と語っていました。
本日のドル円は156円50銭~158円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は中東情勢の不透明さとCPIの上振れから157円77銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2026-05-13 10:30